(1)概要
(2)銅に投資するには?(銅関連銘柄の一覧)
(3)銅の基本的な特徴
(4)銅の需要・供給を分析してみよう
(5)世界の銅山トップ20の権益
(6)銅は将来枯渇する資源なのか?
(7)フリーポートマクモランと住友金属鉱山を比較してみました
当記事は、米国株「銅(コッパー)関連銘柄」特集の一環で書いています。今回は、銅の需要・供給面をまとめておきたいと思います。
銅の世界的需要・供給と銅価格の月次推移(直近5年)
以下のチャートは、2016年1月~2021年5月までの、
- 銅山の世界生産量(青)、精錬銅の世界生産量(オレンジ)、精錬銅の世界消費量(緑)、精錬銅の世界在庫高(水色)の月次推移:目盛りは左側で単位は万トン
- COMEXの銅先物価格(赤):目盛りは右側
銅関連データの出所は、International Copper Study Group (ICSG:1992年設立された銅の国際商品委員会として機能する銅の生産国と消費国の政府間組織)です。チャートは当サイト米国株.comで作成しています。銅関連の最終データは2021年1月です。
精錬銅の在庫は、取引所(英LME、米COMEX、上海ShFE)と、精錬メーカーの在庫等で構成されています。
銅価格は、米COMEXの銅先物価格の月末価格を表示しています(2021年5月は、2021年5月14日時点の価格を表示しています。)

銅の生産は、(1)銅山から鉱石を採掘する生産と、(2)鉱石を精錬して精錬銅にする生産の2つに区分されます。精錬銅の消費と対比する生産は、(2)の精錬銅の生産の方です。

上のチャートの通り、銅山生産、精錬銅生産、精錬銅消費、精錬銅在庫のすべてにおいて季節性があることがわかりますね。2020年のコロナショックでは、特に銅山の生産への影響が相対的に大きかったことが伺えます。2020年後半の回復過程では、特に精錬銅の消費が伸びており、その後に銅価格が投機的に急騰していることがわかります。
銅の世界的需要・供給の年次の長期推移(2000年~2022年)
次に、以下のチャートは、銅の世界的需要・供給の年次の長期推移(2000年~2022年)を表示しています。
単位は千トンです。(クリックで拡大できます。)
銅の生産・消費データの出所は上と同じICSGで、チャートは当サイト米国株.comで作成しています。2021年、2022年のデータはICSGによる予測値を表示しています。
銅の世界的需要・供給の年次の地域別推移(2020年~2022年)
次に、以下のチャートは、銅の世界的需要・供給の年次の地域別の構成(2000年~2022年)を表示しています。
このチャートは、上の長期推移(2000年~2022年)の中の直近3年を、地域別に積み上げたものです。
単位は上と同じ千トンです。(クリックで拡大できます。)
銅の生産・消費データの出所は上と同じICSGで、チャートは当サイト米国株.comで作成しています。2021年、2022年のデータはICSGによる予測値を表示しています。

銅山の生産で最も大きい地域は南米(黄色)、次が北米(オレンジ)です。
精錬銅の消費で最も大きい地域は中国です。(上のチャートでは、黄緑色の中に含まれています。)

精錬銅の生産と消費は、足もとの2020年から2022年については、ほぼ均衡を維持していることがわかります。
足元での銅価格は、もっと長い10年スパンの需要・供給の両面から、投機的な急騰につながっている、とみられています。
- 2020年の銅使用量の3%程度であるグリーン電力関連の需要は、2030年までに16%に達する可能性があり、電気自動車(EV)には、ガソリン車の数倍程度の銅需要があること
- 優良な銅山は限られており、かつ新規の銅山の稼働には、環境のレビューなどによるリードタイムが6年から8年に及ぶ可能性があること