はじめに
当サイト(米国株.com)では、毎月発表される米CPI(消費者物価指数)の内訳をウォッチしています。
足元の米国株相場では、インフレ圧力の推移が特に注目されています。株式のニュースを読むだけでなく、CPIの元データにアクセスして、内訳をチェックすると良いと思います。
米国の物価上昇率(インフレ率)としては、「CPI(消費者物価指数)」と「PCEデフレーター」の2つがあることを、別記事で紹介しました。
米国の中央銀行であるFRBは、インフレターゲットの対象として、米労働省労働統計局が公表する「CPI(消費者物価指数)」ではなく、米商務省経済分析局「PCEデフレーター(特にPCEコアデフレーター)」を重視する、と言われていますが、一方CPIの方も市場に大きな影響を与えます。
上記の通りFRBはPCEデフレータの方をより重視しているのですが、PCEデフレータは計算が複雑で発表が遅いので、市場では、発表が早いCPIが依然として注目されています。
CPIの内訳の見方
下の表は、昨日2021年10月13日(水)に発表された米CPIの内容です。
(データ元:U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS:米労働省労働統計局)
CPIは、総合CPI(All items)と、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数(All items less food and energy)に大別することができます。
総合CPI:5.4%(市場予想は5.3%、前月は5.3%)
コアCPI:4.0%(市場予想は4.0%、前月は4.0%)
【対前月比上昇率】
総合CPI:0.4%(市場予想は0.3%、前月は0.3%)
コアCPI:0.2%(市場予想は0.2%、前月は0.1%)
食品価格(Food)は対前月比+0.9%、食肉価格の急騰を反映して、昨年4月以来の大幅上昇となっています。
住居費(Shelter)も対前月比+0.4%の上昇となっています。
住居費の中の重要項目である帰属家賃(Owners’ equivalent rent of residences)は、0.4%上昇して5年ぶりの大幅な上昇となりました(前月は0.3%)。詳細のテーブルはこちらです。
帰属家賃とは、実際には家賃の受払を伴わない持ち家について、通常の賃貸サービスが生産され消費されるとみなして、それを市場価格で評価した家賃のことをいいます。CPIの計算上、帰属家賃は住居費全体の7割以上を占めています。
サプライチェーンの混乱、商品価格の高騰、賃金上昇が重なり、生産者にとってのコストが急騰、多くの生産者がその一部を消費者に価格転嫁しており、FRBや市場が想定していた以上にインフレ圧力が長期化する可能性が高くなっています。
インフレは一過性(transitory)としていたFRBの以前の見通しとは異なる様相を呈しています。
Fuel Oilが対前月比+3.9%と上昇が顕著ですが、重要なポイントは、足もとの原油価格の上昇は、まだ統計に反映されていない、という点です。
ご参考になれば幸いです。