クリスピー・クリームが再上場
クリスピー・クリーム(旧社名:クリスピー・クリーム・ドーナツ)が、2021年7月1日、ナスダックに再上場を果たしました。ティッカーは「DNUT」です(覚えやすいですね)。
2006年、クリスピー・クリーム・ドーナツが新宿に日本1号店をオープンしたときは、「行列のできるドーナツ屋」として話題になりましたね。日本の店舗は、現在は随分減りました。
同社は1937年に創業、2000年代にフランチャイズ形式の過剰な出店攻勢によって業績が次第に低迷、また米SEC(証券取引委員会)から会計不正を理由に捜索、排除措置命令を受けました。そして2016年、同社はルクセンブルクに本社を置く投資会社JAB Holdingに13億5000万ドルで買収され、非公開化されました。
非公開化から約5年、コロナ禍の中で再上場を果たしたクリスピー・クリームは、どのような再建戦略をとったのでしょうか?
クリスピー・クリームの再建の戦略
今回のクリスピー・クリームの再上場の申請書類(フォームS-1:目論見書)の中に、クリスピー・クリームがどのように再建されて、再上場を果たしたのか、その戦略が記載されていますので、ご紹介したいと思います。
今回のフォームS-1の中の「Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operations(MD&A:経営者による財務、経営成績の分析)」の中の重要な記載箇所を要約して紹介します。
(注:以下は当サイト米国株.comによる要約です。原文はフォームS-1にアクセスしてください。)
この戦略は、「オムニチャネルビジネスモデル」によって具現化されています。このモデルは、(1)「ホットライトシアター」「フレッシュショップ」と呼ぶ既存の店舗形態、(2)新鮮なドーナツを扱う「DFD(Delivered Fresh Daily)」と呼ぶ販売形態、(3)eコマース及びデリバーによる販売形態について、密集都市・都市・郊外のエリア別に、消費者がさまざまな方法で当社の商品にアクセスするための仕組みです。
この仕組みの重要な要素は、当社の伝統的な事業形態を進化させることでした。DFD形態は、以前はより長期間保存できるドーナツを扱っており、これは消費者が「クリスピー・クリーム」ブランドに期待する鮮度と品質を具現したものではありませんでした。この問題について、過去数年の間で、「ホットライトシアターショップ」等の店舗形態で使用できるDFDモデルへの完全な移行を開始しました。変革されたDFDモデルは、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供し、小売パートナーからの需要の増加と、DFD形態の売上増加につながったと確信しています。
また、以前にフランチャイズ化していた多くの事業を買収して統合し、より直接的な管理と、買収した場所をハブアンドスポークネットワークに統合する機能を整備しました。 また、2018年にInsomniaの支配権を取得したことにより、急成長しているブランドがポートフォリオに追加され、流通規模とノウハウを活用することでさらなる成長の機会がもたらされました。
JAB Holdingとは?
JAB Holding Companyは、ルクセンブルクに本社を置くドイツの投資ファンドで、コーヒー・飲料、、ファーストフード、ペットケア、美容・宝石関連などの企業の再建に特化した投資ファンドです。
JAB Holding Companyの保有会社(データ元:同社Webサイト)
とても興味深い投資ファンドですね。
以上、ご参考になれば幸いです。