はじめに
足元の米国株相場は、原油相場が高止まり、またサプライチェーンの混乱によるインフレ進展によって、「FRBが想定よりも早期に行動を起こさざるを得なくなるのでは」との懸念で金利が上昇、特にグロース株を中心に調整が続いていますね。
一方で、米国の金利上昇局面で恩恵を受けるセクターの代表として、「金融セクター」があげられます。
この記事では、この金融セクターを少し深堀りして、金融セクターの中の「地方銀行」に焦点を当ててみたいと思います。
地方銀行ETF「IAT」を、金融セクターの代表的ETF「XLF」と比較してみよう
米国株の金融セクターの代表的なETFといえば、ステートストリートの「XLF:Financial Select Sector SPDR Fund」ですね。一方で米国の地方銀行株に特化して運用するETFとして、ブラックロックの「IAT:iShares U.S. Regional Banks ETF」というETFがあります。
まず両ETFのパフォーマンスを相対比較してみましょう。基点は2020年年初にしています。
赤がXLF、青がIATです。(クリックで拡大できます。)

足元では、XLFよりIATの方が、強い動きであることがわかりますね。
もう少しわかりやすくするために、IATをXLFで割った「IAT・XLF比率」の推移を見てみたいと思います。基点は上と同じ、2020年年初来です。
(クリックで拡大できます。)

「IAT・XLF比率」は、予想以上にトレンドが出る比率であることがわかります。
同じ金融セクターのETFなのに、なぜこれほど綺麗なトレンドがでるのでしょうか?
XLFは、S&P500構成銘柄の中の、商業銀行だけでなく投資銀行や資産運用会社などの大型株で構成されるETFです。一方、IATは米国の地方銀行(つまり、商業銀行)だけで構成されるETFです。
このことから;
(商業銀行のウエイトが相対的に小さい)XLFよりも、金利感応度が大きく、またマーケットで金利の先行きが注目される局面での注目度が大きい
ということがうかがえます。
ご参考に、以下にIATとXLFの概要を記載しておきます。
IAT:iShares U.S. Regional Banks ETF
以下のデータの出所はYahoo Financeです。(閲覧日:2021年10月13日)
純資産:1.13B
分配金利回り:2.13%
年初来リターン:30.56%
ベータ値 (5年・月次) :1.48
経費率:0.42%
開始日:2006-05-01
上位構成銘柄(上位10位:67.11%)
- PNC Financial Services Group Inc PNC 13.34%
- U.S. Bancorp USB 12.96%
- Truist Financial Corp TFC 12.60%
- First Republic Bank FRC 5.91%
- SVB Financial Group SIVB 4.66%
- Fifth Third Bancorp FITB 4.29%
- Huntington Bancshares Inc HBAN 3.63%
- KeyCorp KEY 3.34%
- Regions Financial Corp RF 3.24%
- Citizens Financial Group Inc CFG 3.14%
XLF:Financial Select Sector SPDR Fund
以下のデータの出所はYahoo Financeです。(閲覧日:2021年10月13日)
資産運用会社:State Street
Yahoo Finance
純資産:40.81B
分配金利回り:1.57%
年初来リターン:31.95%
ベータ値 (5年・月次) :1.25
経費率:0.12%
開始日:1998-12-16
上位構成銘柄(上位10位:54.76%)
- Berkshire Hathaway Inc Class B BRK.B 12.83%
- JPMorgan Chase & Co JPM 11.47%
- Bank of America Corp BAC 7.57%
- Wells Fargo & Co WFC 4.56%
- Citigroup Inc C 3.56%
- Morgan Stanley MS 3.32%
- Goldman Sachs Group Inc GS 3.15%
- BlackRock Inc BLK 3.02%
- Charles Schwab Corp SCHW 2.66%
- American Express Co AXP 2.62%

以上、ご参考になれば幸いです。