なぜ日本株は米国株に勝てないのか
下のチャートは、日経平均株価指数と、米国S&P500株価指数を、1985年からの長期で相対比較したものです。
ご存じのように、日経平均の史上最高値は、1989年12月の38,915円です。30年以上保有しても、まだ含み損の方がいます。
一方、S&P500の場合は、ご覧の通りの長期右肩上がりです。

足元ではコロナワクチン接種の遅れもあって、閉塞感に覆われているような感じですね。
なぜ日本株は米国株に勝てないのでしょうか?
いろいろな理由があると思いますが、私の個人的意見を、以下にまとめておきたいと思います。
経済環境の違い・市場環境の違い
米国は、貿易赤字・経常赤字の国です。ガッツリ投資して、ガッツリ消費して、貯蓄は少ない肉食系の国です(笑)。大量にモノを輸入しますが、海外の国が(世界中で最も安全な)米国債を大量に買うので、資金ショートしません。投資では、株式投資・企業買収による投資・海外への投資がとても盛んです。モノや人材や情報など、いろいろなものが米国に集まってきます。
一方、日本は、貿易収支は今はトントン、経常収支は黒字(第一次所得収支という海外投資の配当などが黒字)の国です。貯蓄はガッツリ、消費は少ない草食系の国です(笑)。投資では、企業買収による投資がとても少ない国です。
米国の株式市場には、世界中の投資家の資金が集まってくるので、市場の流動性がとても大きいです。肉食系のアニマルスピリットにあふれる株式市場です。
日本の株式市場は、日本の個人投資家と外国人の機関投資家だけの、とても歪んだ市場です。
まずは、こうした経済環境の違い・市場環境の違いが、日本株と米国株のパフォーマンスの差の背景にあると思います。
企業の違い
次に、日本と米国の企業の違いです。株価は、結局は企業業績に収斂しますね。日本株が米国株にパフォーマンスで勝てないのは、日本企業の業績が米国企業の業績に劣るからです。

なぜ日本企業の業績は、米国企業の業績に勝てないのでしょうか?
背景にある最も重要な違いは、企業風土とか、企業文化とか、もっと広くいえば日本社会らしさ、日本人らしさみたいなものだと思います。
日本企業は、従業員重視・顧客重視、株主は軽視です。安定・調和を好むといえば長所にも見えますが、悪く言えば、変化しない、決めない(決められない)、効率が悪い、再投資しない、内部に貯めこむ、などの特徴があります。機能しない社員や、機能しない部署がずっと残ります。
結果、企業価値を持続的に成長させるカギである「イノベーション(革新)」が、なかなか出てきません。こうした背景によって、米国の上場企業と日本の上場企業の間で、目に見える最も大きな違いは、M&Aの頻度の違いです。M&Aは一気に企業を成長させるイノベーションの一つといえます。
もう一つ、最近顕著になってきた日本と米国の企業の違いは、日本企業の強みが「ものづくり」で変わらないのに対して、米国企業は、その成長の源泉として、デジタル化などの環境変化に対応した「プラットフォーマー」のビジネスモデルが重要になってきている点だと思います。

当サイト米国株.comでは、米国株の個別銘柄の紹介をしており、たとえばナスダック100の構成銘柄は全銘柄を掲載しています。
ナスダック100の上位銘柄だけでなく、100位までの全銘柄をじっくり見ていただくと、多くの銘柄がM&Aを繰り返すことで成長を続けており、何らかの「プラットフォーマー」であることがわかります。
以上ご参考になれば幸いです。