(1)「メタバース関連銘柄」を、メタバースETF(METV・VERS)の構成銘柄でおさえておこう
(2)ナイキの先進的事業モデル、「デジタル・スニーカーによるメタバース進出」をおさえておこう
メタバース進出は、ナイキの将来をどう変えていくのか?
当サイトの読者の方にも、ナイキのスニーカーを愛好される方がたくさんいらっしゃると思います。
ナイキのスニーカーの中で、少量ロットで生産された名作モデルなどは、高値で転売される「投資商品」の側面を持っていますね。これは、ナイキがブランド価値においてきわめて高い優位性をもっている表れだと思います。
ナイキは、そうした高いブランド価値を利用して、将来どのような事業モデルを展開していくのでしょうか。
そのキーワードの一つが、「メタバース」です。
インターネット上の仮想空間であるメタバースは、いずれ現在のインターネットにとって代わると予測する向きもあります。「無限に拡大可能なもう一つの地球」が突然発見された、と言って良いほどのこのタイミングに対して、先行者利益をめぐって多くのIT企業や高いブランド価値をもつ企業などが参入してきています。ナイキもそのうちの1社です。
今回の記事では、ナイキが積極的に取り組んでいるメタバース事業の分野について、まとめておきたいと思います。
ナイキの3Q決算は堅調
メタバースの話の前に、ナイキの直近の決算発表について触れておきます。
ナイキは、今週の3月21日、2023年5月年度の第3四半期(12月~2月)の決算を発表しました。以下の通り、売上高・EPSともに市場予想を上回りました。
- 3Q売上高:108.7億ドル(市場予想:105.9~106億ドル)
- 3QEPS:87セント(市場予想:71セント)
最大の北米市場の売上高は△9%の38.8億ドル、欧州・中東・アフリカ市場も△7%の27.7億ドルと堅調だった一方で、中国市場は▼5%の21.6億ドルでした。オンライン販売は対前年比△19%で好調でした。
ナイキの年度末は「5月」で、結構珍しいです。
以下は、ナイキの2020年年初からの相対パフォーマンスを示しています。(青がナイキ、赤がダウ平均、オレンジがS&P500です。)
今回の決算発表において、同社のジョン・ドナホーCEOは、「ナイキは、(後述の)Robloxとの協業、およびRTFKTの買収を通じて、メタバースでの存在感を高め続けるだろう。」と、アナリスト向けに説明しています。
それでは、ナイキのメタバースへの取り組みについて、紹介していきます。
ナイキのメタバースへの取り組み
「バーチャル・スニーカー」企業のRTFKT(アーティファクト)社を買収
ナイキは2021年12月、「バーチャル・スニーカー」を展開するRTFKT(アーティファクト)社を買収しました。
バーチャルスニーカーとは、バーチャルの世界でのみ着用できるスニーカーです。バーチャルスニーカーは、オンラインゲームなどのメタバースの世界で、ユーザーが操作するアバターに着用させるスキンのひとつで、今後大きな可能性を秘めた事業分野として注目を集めています。
バーチャルスニーカーの重要な特徴の一つは、NFT(非代替性トークン:ブロックチェーンの技術を使ってコピーを出来なくしたデジタルデータ)化されている点です。この技術によって、従来のスニーカー市場の課題だったコピー品・偽造品の問題を、デジタル上においては解決することができます。
ナイキにとって、バーチャルスニーカーのもう一つの大きなメリットは、メタバースの利用によって、実物のスニーカーを製造するコストをかけることなく、サンプルを生産してマーケティングを展開できる、という点です。
きわめて先進的な思考として、ナイキはこの分野の先駆的存在になっています。
Roblox社のプラットフォーム上にブランドスペース「NIKELAND」を立ち上げ
さらにナイキは、オンライン体験プラットフォームの構築を目指すテクノロジー企業であるロブロックス社と提携して、ブランドスペース「NIKELAND」を立ち上げました。
ロブロックスのプラットフォーム上では、ゲームのプログラミングをしたり、他のユーザーがつくったゲームをプレイできます。ナイキは、NIKELANDを利用して、顧客とナイキのブランドの間にゲームを通じて楽しく密接なつながりを築いて、顧客との関係をさらに強化しようとしています
ナイキのメタバース上の取り組みは本気で、実際の売上につなげようとしていることがわかります。
以上、ご参考になれば幸いです。