はじめに


部分的なSWIFT排除となりましたね。制裁は出すタイミングが重要なんでしょうね。
明日の週明け、原油や株は当然動くでしょうが、最も注目されるのは通貨ルーブルでしょうか。
米国株でも「トレンド」の定義や「トレンドがどの時点で開始・終了と判断するか」はとても重要
さて、本日は「トレンド」についての記事にしたいと思います。
先週の後半、米国株が反発すると、やれ「買い場到来」とか、やれ「レバナス買い(←懲りてない)」とか書いている方が増えたように思いました。
ここで「トレンド」の定義の理解や、「トレンドがどの時点で開始・終了と判断するか」は、短期トレードだけでなく、長期投資でも常識として知っておいた方が良いと思いますので、紹介したいと思います。
以下のトレンドの概念は、短期トレードでは常識の「ダウ理論※」に基づくものです。たとえばFXトレードでは常識で、これを知っていると勝てるというものではなく、これを知っておかないと土俵に上がれないというものです。

先日、金融リテラシーの記事の中で、長期投資だけでなく短期トレードのスキルも金融リテラシーとして重要と書きましたが、以下のダウ理論の理解は、短期トレードの金融リテラシーの典型例です。長期投資家もぜひおさえていただくと良いと思います。
下のチャートは、S&P500CFDの4時間足チャートの、先週の金曜引け時点です。(クリックで拡大できます。)
直近の重要なポイントに、AからGまでの記号を付けていますので、ご注目ください。
- Aは、最高値(B)の基点となった安値です。
- Bは、最高値です。
- Cは、Aを下回った地点です。
- Dは、最高値(B)の次の安値です。
- Eは、直近の最安値(G)の基点になった高値です。
- Fは、Dを下回った地点です。
- Gは、直近の最安値です。
ここで重要なポイントは、CとEとFの3点です。
Cは、「上昇トレンドが終わった地点」です。
Fは、「下落トレンドが始まった地点」です。
現在はまだ下落トレンド中で、今後下落トレンドが終わるためには、Eを上回ることが必要です。
ダウ理論では、上昇トレンドの定義は「連続する高値と安値が、それより前の高値・安値より切り上がっている状態」をいい、下落トレンドはその逆に「連続する高値と安値が、それより前の高値・安値より切り下がっている状態」をいいます。文章ではわかりづらいので、以下に順に図解していきます。
上昇トレンド
以下の図では、連続する高値と安値が、ともに以前の高値・安値より切り上がっている状態なので、上昇トレンドの状態です。最高値の基点になった安値Aを、押し安値と呼びます。
上昇トレンドの終了
A(押し安値)を下回ったC地点で、上昇トレンドは終わります。(まだ下落トレンドではありません。)
下落トレンドのスタート
F点、つまり連続する高値と安値が、それより前の高値・安値より切り下がっている状態になった地点が、下落トレンドのスタートです。最安値の基点になった高値Eを、戻り高値と呼びます。
下落トレンドの終了
戻り高値Eを上抜けると、下落トレンドは終わりです。 (まだ上昇トレンドではありません。)

ということで、現在はまだ下落トレンドの中にあり、戻り高値(だいたい4,600ポイントくらい)を上抜けるまでは、戻り売りを狙っている市場参加者が多いのです。ここでやれ「買い場到来」とか、やれ「レバナス買い(←懲りてない)」とか、ちょっと違うかなと思います。

なお、上のチャートは4時間足チャートを例にしました。高値・安値はチャートをどの程度の時間足でみるかで当然変わります。たとえば5分足とかの短期チャートでは、トレンドがころころ変わります。
今回4時間足チャートを使用したのは、4時間足が、短期トレーダーと長期投資家の双方にとって、トレンドをみるのにちょうど良い時間足であると考えるためです。
ダウ理論とは
ダウ理論とは、19世紀後半に米国の証券アナリストであるチャールズ・ダウ氏が考案した理論で、相場の値動きの特徴を、6つの基本法則で説明するテクニカル分析の体系です。

以上、ご参考になれば幸いです。