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ランキングと個別銘柄チャートの最終更新日は、2022年12月25日です。

EBITDA(金利・税金・償却前利益)とは?

EBITDAは、「Earnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortization」の略です。「イービットディーエイ」と一般に発音します。

直訳すると;
①Interest(金利:支払利息の方です。受取利息ではありません。)と、②Tax(税金費用)と、③Depreciation(有形固定資産の減価償却費)と、④Amortization(無形固定資産の償却費)を控除する前の利益、という意味です。以下の説明では、③と④をあわせて固定資産償却費とよぶことにします。
EBITDAの内容については、出典によってさまざまな説明がありますが、基本的には、

EBITDA = 税引前利益 + 支払利息 + 固定資産償却費
で計算されます。
(実務上は、営業利益 + 減価償却費で算定することもあるようですが、日本基準でいう特別損益は米国基準では大半が通常の営業利益に含まれるものなので、日米企業比較のためには税引前利益からスタートした方が無難であると個人的には思います。)

  • 支払利息は、各国の金利情勢や各会社の資本構成によって違います
  • 税金は、各国の税制によって違います
  • 固定資産償却費は、減価償却の方法(定率法・定額法、耐用年数等の違いなど)、すなわち各国の会計基準によって違いますし、設備投資の状況によっても大きく異なります。

したがって 支払利息や税金や固定資産償却費を控除した後の利益では、税法や金利情勢の違う国の会社どうしや、設備投資環境の違う会社どうしなど、異なる経済環境の会社の本質的・実質的な利益水準を比較分析することが難しくなります

EBITDAは、このような異なる経済環境の会社の分析をしやすくするために、支払利息や税金や固定資産償却費を足し戻して算定される利益水準です。

EBITDAの特に重要なポイントは、固定資産償却費を足し戻す点です。この点で、EBITDAを広義の営業キャッシュ・フローととらえる場合もあります。

EBITDAを売上高で除した利益率は、EBITDAマージンと呼ばれます。
企業価値 (EV:Enterprise Value) をEBITDAで除したEV/EBITDA倍率は、現在の株価が割安か割高かどうかの判断に利用されます。(詳しくはこちらを参照ください。

EBITDAは、異なる経済環境の会社の本質的・実質的な利益水準の比較分析に有効ですので、米国株に投資する日本の個人投資家が、米国企業の収益力を日本企業の収益力と比較する際に有効な指標、といえます。また、ソフトバンクなど、EBITDAを業績評価指標として重視する会社は多くあります。

ただし、EBITDAには以下のようなネガティブな面もあります。
2002年7月に上場廃止となった米国の通信事業会社ワールドコムは、EBITDAを評価指標として重視する一方で、他の営業費用を固定資産償却費に付け替える処理をしていました、純利益に与える影響は同じですが、EBITDAは水増しされて公表されることになります。

客観性・公正性を確保するために一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)により算定された利益よりも、このような本質的・実質的な利益を重視するという傾向は、企業の会計操作を行いやすくする意味で危険であるといった批判を呼び、2003年に米国SECは「Regulation G」を施行しました。これは、決算発表でGAAPによらない財務指標(non-GAAP financial measures)を発表する時は、GAAPによる最も関連する指標と、その値との調整(調整表など)を同時に発表することを義務づけたものです。

(Regulation G 抜粋)
Regulation G requires the registrant to provide the following information as part of the disclosure or release of the non-GAAP financial measure:
– a presentation of the most directly comparable financial measure calculated and presented in accordance with GAAP and
– a reconciliation (by schedule or other clearly understandable method), which shall be quantitative for historic measures and quantitative, to the extent available without unreasonable efforts, for prospective measures, of the differences between the non-GAAP financial measure presented and the most directly comparable financial measure or measures calculated and presented in accordance with GAAP

米国株に投資する際に、公表されているEBITDAを分析したり、自分でEBITDAを簡便的に計算して分析することは有効です。ただしEBITDAのみでは不十分ですので、他の利益(当期純利益や営業利益)や他の指標と組み合わせて利用することが必要です。



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