大麻合法化の動きとは?
今回の米国大統領選・議会選で、バイデン氏が勝利し、もし上下院ともに民主党が過半数となった場合に追い風となると予想されたセクターとして、代替エネルギー分野の他に、「大麻(カンナビス、マリファナ)」があります。結果的に上下院ともに民主党が過半数の「ブルーウェーブ」にはならなかったですが、今後も注目が続きそうです。
日本で大麻(マリファナ)と聞くと「誰某が大麻所持で逮捕」といった報道しかないのでわかりづらいと思いますが、米国での大麻合法化の動きは、BLM(人種差別抗議運動)やリベラル派政権への移行が絡んでおり、且つ大きなメリットがある話なのです。
(2020年12月5日の産経新聞より)
米下院は2020年12月4日、マリフアナ(大麻)を連邦法で合法化する法案を史上初めて可決、下院多数派の民主党議員の大半と、共和党議員の一部が賛成しました。共和党が多数を占める上院を通過する見通しはありませんが、全米各州では州法で大麻を合法化する動きが広がり、「機運の高まり」(ワシントン・ポスト紙)は中央政界にも及び始めています。法案は大麻を規制物質から除外し、生産や流通、所持の刑事罰を撤廃する内容。大麻を巡る犯罪歴を取り消し、製品に5%の税金を課して薬物対策の基金に充てることが盛り込まれています。米メディアによると、全米の36州で大麻の医療使用が認められ、15州では嗜好品として使うことも合法化されています。また5州では11月の大統領選と同時実施された大麻合法化の是非を問う住民投票で賛成が多数を占めました。
大麻合法化の大きなメリットは2点、まず、
(1)医療用大麻としての利用が可能になる点です。医療用大麻は、大麻に含有される特定の成分を利用した生薬療法で、大麻の種類ではありません。大麻には鎮痛作用、沈静作用、催眠作用、食欲増進作用、抗癌作用、眼圧の緩和、嘔吐の抑制など大麻の適応症は多岐にわたり、古来から利用されている国々もあります。また、
(2)財政が潤う(酒やタバコのような嗜好品として課税しやすく、税収の増加が見込まれる)こともメリットです。
また、米国のBLM(Black Lives Matter:人種差別抗議運動)の一つのポイントとして、大麻所持で逮捕されるのは黒人が大半で、いったん犯罪歴がつくとずっと不利な状況が続くことが黒人の大きな不満でした。大麻合法化を進める中で大麻所持の犯罪歴の取り消しを行うことは、BLMに大きく応えることになります。
一方で、デメリットは、依存者の増加や催幻覚作用の影響などの問題です。精神依存の点では、タバコに含まれるニコチンのほうが強力であることが知られている一方、大麻には催幻覚作用があり、車の運転など社会生活の中で危険なことは明らかです。(なお合法化しても、摂取後に車の運転ができないのは飲酒と同じです。)
米国で保守的な共和党政権からリベラルな民主党政権に変わる今が大きなチャンスであることがわかりますね。
なお、隣国カナダでは、以前から医療用の大麻が合法化されており、処方せんがあれば誰でもマリファナを手にする事が出来ます。さらに2017年、成人に対する娯楽目的の大麻の使用と生産の合法化を決定、国レベルでの大麻の合法化はウルグアイに続いて世界で2ヵ国目になります。
大麻関連のETF
大麻が関連するETFは、複数発行されています。以下に、CNBS(Amplify Seymour Cannabis ETF)、YORO(AdvisorShares Pure Cannabis ETF)、 THCX(Cannabis ETF)、MJ(ETFMG Alternative Harvest ETF)を紹介します。2020年1月~2020年12月10日までの直近約11カ月の推移は、以下の通りです。濃いオレンジ色は、SPYを参考に表示しています。(クリックで拡大できます。)
11月の大統領選を境として、急激に資金流入して急騰していますが、直近は下げていることがわかりますね。
なお、下の構成銘柄でお分かりの通り、カナダの銘柄が多く含まれています(ティッカーの後に”TO”が付くのは、トロント証券取引所上場の銘柄です)。これは前述の通り、カナダではすでに医療目的・娯楽目的の両方で大麻が合法化されていることが背景にあります。
CNBS(Amplify Seymour Cannabis ETF)
Inception:7/23/2019
Net Assets:$24,478,121
Net Expense Ratio:0.75%
Top 10 Holdings
GW PHARMACEUTICALS PLC (GWPH) 10.58%
VILLAGE FARMS INTL INC (VFF) 10.27%
APHRIA INC (APHA CN) 10.15%
CANOPY GROWTH CORP (CGC) 9.92%
GROWGENERATION CORP (GRWG) 8.85%
INNOVATIVE INDL PPTYS INC (IIPR) 8.30%
CHARLOTTES WEB HOLDINGS INC (CWEB CN) 6.25%
SILVER SPIKE ACQUISITION CORP CL A SHS (SSPK) 6.07%
CRONOS GROUP INC (CRON) 5.34%
HYDROFARM HLDGS GROUP INC (HYFM) 5.31%
YORO(AdvisorShares Pure Cannabis ETF)
運用会社:Advisorshares
Yahoo Finance
Inception: 4/17/2019
Net Assets: $137,257,817.18
Net Expense Ratio: 0.75%
Top 10 Holdings
BlackRock Liquidity Treasury Instl (TTTXX) 14.61%
Village Farms International Inc (VFF.TO) 11.07%
Innovative Industrial Properties Inc Registered Shs (IIPR) 10.11%
GW Pharmaceuticals PLC ADR (GWPH.L) 6.67%
GrowGeneration Corp (GRWG) 5.78%
Swap on Curaleaf Holdings Inc (N/A) 5.66%
Swap on Trulieve Cannabis Corp Ordinary Shares (Sub Voting) (N/A) 5.63%
Swap on Green Thumb Industries Inc (N/A) 5.56%
Arena Pharmaceuticals Inc (ARNA) 5.16%
Aphria Inc (APHA.TO) 4.74%
THCX(Cannabis ETF)
Inception Date: 2019-07-09
Net Assets: 22.02M
Net Expense Ratio: 0.70%
Top 10 Holdings
Canopy Growth Corp (WEED.TO) 8.28%
GrowGeneration Corp (GRWG) 6.97%
Aphria Inc (APHA.TO) 6.96%
Cronos Group Inc (CRON.TO) 6.34%
Village Farms International Inc (VFF.TO) 5.58%
The Scotts Miracle Gro Co A (SMG) 5.54%
GW Pharmaceuticals PLC ADR (GWPH.L) 5.14%
Tilray Inc (TLRY.TO) 5.08%
MediPharm Labs Corp (LABS.TO) 4.17%
OrganiGram Holdings Inc (OGI.TO) 4.01%
MJ(ETFMG Alternative Harvest ETF)
Inception Date: 2015-12-03
Net Assets: 968.52M
Net Expense Ratio: 0.75%
Top 10 Holdings
Aphria Inc (APHA.TO) 10.05%
GW Pharmaceuticals PLC ADR (GWPH.L) 8.44%
Canopy Growth Corp (WEED.TO) 8.26%
Aurora Cannabis Inc (ACB.TO) 7.69%
Cronos Group Inc (CRON.TO) 6.42%
Tilray Inc (TLRY.TO) 6.12%
GrowGeneration Corp (GRWG) 5.51%
Village Farms International Inc (VFF.TO) 4.52%
HEXO Corp (HEXO.TO) 4.19%
Charlottes Web Holdings Inc Ordinary Shares (CWEB) 3.28%
大麻関連の個別銘柄
上記の複数のETFに組み入れられている以下の個別銘柄については、個別の記事を用意しています。以下のリンクから進んでいただければと思います。