イリジウム・コミュニケーションズは、66個の通信衛星を基地局としてコミュニケーションサービスを行う「通信衛星携帯電話サービス」の会社です。北極・南極を含む全世界をカバーしているこの衛星は、高度約780kmという低い上空を周回しており、音声の遅延が小さく一般の携帯電話とほとんど同じ感覚で会話できます。日本でも阪神淡路大震災や東日本大震災で利用され、地震、台風、津波といった非常災害時に、地上のインフラの影響を受けない通信手段として見直されています。
初代のイリジウムは、モトローラが約18%、日本イリジウムが約11%間接出資して1998年にサービスを開始しましたが、1999年に連邦倒産法第11章を申請して倒産。その後2000年にイリジウム・サテライト社(現:イリジウムコミュニケーションズ)が全資産を買い取り人員削減等の再構築を行い、米国政府・国防総省などの公的機関を主要顧客とした通信サービスの会社として再スタートしています。現在日本では、KDDIが唯一の事業者となっています。
2007年、同社はイリジウム通信衛星66機をすべて更新する次世代衛星通信ネットワーク計画「イリジウムネクスト(Iridium NEXT)」を開始、計画は遅延しましたが、スペースXによる最後の打ち上げが2019年に行われ遂に完了しました。これに伴い、イリジウムはこれまで音声通信が中心でしたが、2019年からは「イリジウムCertus」という本格的なデータ通信にも対応したサービスを開始しており、今後の成長が期待されています。
なお同社は、ARK Investの基幹ETF「ARKK」の組み入れ銘柄です。
業績・株価比較チャート(米国株.com式)
四半期ごとの売上高・当期利益(および1株当たり当期利益)の推移を、日足チャートと対比させています。
(クリックで拡大できます)最終更新日:2022年12月25日