ドル円のチャートを逆さにしてみよう
足元のドル円相場は、約20年ぶりとなる126円台で推移していますね。2022年4月15日(金曜)のドル円の引けは、126円40~50銭あたりでした。
約20年ぶりといってもいまひとつ実感が無いのは、「ドル円のチャートでは円安は上方向だから」だと思います。「ドルで測った円の価値」をみるためには、「ドル円」のチャートを逆さにした「円ドル」のチャートを見ると良いと思います。
下は、円ドルの1990年代からの長期チャートです。(クリックで拡大できます。)
赤い水平線は、アベノミクスの際の円最安値125円(いわゆる黒田ライン)で、直近はそのポイントをついに下割れしたところです。
もはや、2002年の135円や、1998年の146円が、現実的に見えてきていることが実感できると思います。
チャートの形状としては、20年の歳月をかけてつくられた壮大な「三尊天井(ヘッド・アンド・ショルダー)」のネックライン割れに見えます。その三尊の右肩(2015年以降)は、円が100円からはもう円高にすすまないことを確認した相場だったと(今となっては)いえると思います。
ここで質問です。
上のチャートが、貴方が保有している仮想の「A株」だったとしましょう。
A株は、7年前につけた最安値をついに割ってきました。あなたがとるべき行動は何でしょうか?
↓
正解は、損切り(ロスカット)です。絶対にポジションを閉じるべきです。
損切りは、悪いことではなく、自分の資産を守る正しい行動です。全部決済して、損は勉強代と思って綺麗にゼロスタートすべきです。ジョージ・ソロス氏の名言「まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ」を肝に銘じておきましょう。
話を円相場に戻します。
上のチャートを見て、貴方の金融資産が極端に円建てに偏っている場合、現在は超重要な歴史的な局面で、とても危ない状況であることを実感するべきだと思います。
特に今年は、米国株を中心とした株式相場が調整中なので、待機資金として日本円のキャッシュを増やしている方が多いと思います。「すべての卵を一つのカゴに盛るな」という分散投資の基本がありますが、日本円のキャッシュを大量に保有するのは、急落中の円という資産にフルベットしているようなものです。
なお目先の見通しとして、米国のインフレがピークアウトして次回5月のFOMCではドル高材料が出尽くし、一方日本は5月以降にCPIが上昇するという予測があります。日銀黒田総裁の後任人事の思惑も影響しそうです。しかしそのような材料は超目先の材料です。上の「円ドル」のチャートや、日本経済のファンダメンタルズから、まずは長期のトレンドをおさえておくべきであると思います。
目先、円高(ドル安)に戻ることがあると思いますが、先進国のなかで唯一20年以上低成長を続ける日本の円は;
- 原発の再稼働が急速にすすんで貿易収支が改善するとか、
- 低賃金の構造要因である中小企業が淘汰されてインフレになるとか、
(ほぼ無理なことが)変わらない限り、円安の長期トレンドは続く可能性が高いと思います。
円建てに偏った金融資産を防衛する、最も手っ取り早い方法は?
円建てに偏った金融資産を守るために、ドル建ての外貨預金をすすめする記事をみかけます。
まあ外貨預金でも良いですが、面倒くさいし、機動性に欠けると思います。
私の個人的意見ですが;
「FXで、ドル円のロング(買い)ポジションを作ること」であると思います。
円相場が円高(ドル安)方向に少し戻ったときに、少しずつロングを増やすと良いと思います。
スワップという、外貨預金でいう金利に相当するものも、ドル円のロングではプラス側でつきます。
ドル円の長期の方向性を見て、ゆったりとドル円のロングポジションを増減させると良いと思います。
当サイトは米国株のサイトですが、FXの経験もとても重要であると思います。
以上、ご参考になれば幸いです。