バフェット氏、2022年1~3月に、ベライゾン株のすべてまたはほとんどを売却した可能性
配当狙いで通信大手ベライゾン株(VZ)を保有している日本人の方は、結構いらっしゃると思います。
今回の記事は、ベライゾン株のホルダーの方には、厳しい内容です。
ベライゾンは、ライバルの通信会社AT&Tが(ワーナーメディアをスピンオフして)ベライゾンとの5G競争に専念することが逆風になっていますが、今回の記事の件も厳しいです。
伝説のバリュー投資家、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ(以下BRK)が毎四半期に「フォーム13-F」で開示するポートフォリオは、毎回注目されています。(バフェット氏が買った株は市場で買われやすく、同じく売った株は売られやすくなります。)
さて、今回のフォーム13-Fは、今月中旬に公表されますが、その内容は5月2日に開示された第1四半期の決算(フォーム10-Q)によって、事前に予測することができます。
この予測方法に基づいて、投資雑誌バロンズは、「バークシャー・ハサウェイは1Qに、ベライゾン株(のすべてまたはほとんど)を売却した可能性がある。」と分析しています。
元記事はこちらです。
Berkshire Hathaway May Have Sold Verizon, Bought $10 Billion of Financials(バロンズ、2022-05-02)
SECに提出された同社のフォーム10-Q(2022年1Q)によると、BRKは、1Qに株式売却による実現損失7億3900万ドルを計上しています。
BRKは、2021年末時点で時価82.53億ドル相当のベライゾン株約1億5900万株を保有していました。同銘柄の取得原価は93.87億ドル、つまり1株あたり平均約59ドルです。
ベライゾンの株価は以下の通り、1Qの間53ドル~54ドルの範囲で推移したので、BRKがベライゾンの株式をすべて売却したと仮定すると、(59 – 53.5) X 1億5900万株で約8億ドルの損失が発生することになり、つじつまが合います。
バフェット氏が売却した後、ベライゾンの株価は現在46ドルまで下落していることに注目してください。
ベライゾンは、2021年末にバフェット氏の年次書簡に記載された15の最大の株式保有のうち、コスト割れになった唯一の銘柄です。ベライゾン株のほとんどは2020年に購入されています。
同社はまた、同社の金融株の取得原価が第1四半期に96億ドル増加したことを開示しており、おそらく96億ドルの銀行株を購入したと推測されます。
- 1Qのバフェット氏の最大の株式取得はシェブロン(CVX)で、追加取得原価は約170億ドル程度と見られます。
- また同社は、1Qに約70億ドルのオクシデンタルペトロリアム(OXY)、40億ドルのHP(HPQ)、および約6億ドルのアップル(AAPL)を購入しています。
- さらにバフェット氏は株主総会で、アクティビジョン・ブリザード(ATVI)の約9.5%を所有しており、現在は約56億ドルの価値があると述べていますが、1Qの期間内にどれだけの金額が行われたかは明らかではありません。同社は年末時点で約1500万株を所有していましたが、総会でのバフェット氏のコメントに基づくと、ATVIの追加取得は主に4月に行われた可能性があります。
- バフェット氏はまた、総会で1Qにドイツの3社の株式を購入したと述べましたが、銘柄名は不明です(なおフォーム13-Fには米国国外の銘柄は開示されません。同社保有の日本の商社株がフォーム13-Fで開示されていないのと同様です。)
伝説の投資家バフェット氏の投資スタイルは長期投資(優良銘柄を安いときに買う)ですので、買った後にすぐに見切られて売却される銘柄は、結構キツいものがありますね。
上記の詳細は、(5月中旬に開示される)フォーム13-Fで明らかになります。しかしその前に開示されるフォーム10-Qの内容で、市場は推測していることについて、今回はまとめました。
以上、ご参考になれば幸いです。