BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)の両方を使用して収益性を測定する考え方は、「投下した資本に対して、いくらのリターンを獲得したか」というものです。
この考え方の指標には、大別して「ROA」(Return On Assets:総資本利益率)と「ROE」(Reurn On Equity:自己資本利益率)の二つがあります。
- 「ROA」は、投下した総資本(営業用の資産+金融資産)が分母で、対応するリターン(営業収益+金融収益[持分法投資損益を含める。支払利息は含めない。])が分子。
- 「ROE」は、親会社からみた株主資本(少数株主持分等を除いたもの)が分母で、親会社からみた当期純利益(少数株主損益を控除したもの)が分子
というのが基本であると思います。
簡便計算では;
ROA = 当期純利益 / 総資産
ROE = 当期純利益 / 株主資本
のケースが多いと思います。
実務では、計算する目的によって、分母と分子に使う概念にバラつきがあるので、(自分で計算せずに)公表されているものは、株式投資ではあくまで参考程度にした方が無難です。自分で、複数の企業を同じ考え方でそろえて比較してみるのはいいですが。
持分法投資損益が大きい業種(たとえば日本の商社)や、支払利息や少数株主持分等が大きい場合は、とくに注意です。
★企業がROEを経営指標にするのは別にいいですが、個人投資家に対して「ROEに注目して投資しよう」と煽る記事には少し抵抗があります。ROEが高い銘柄は、一般に割高なところまで買われています。株式投資では、今の株価が「割安」か「割高」なのかを分析することがより重要です。(いくら収益力が高い優良会社の株でも、割高なら「今」買うべきではないです)