この記事は、米国株「決算発表の見方」特集の一環で書いています。
「セーフハーバー条項(”Safe Harbor” Statement)」とは?
米国企業の決算発表で出されるプレスリリースの中には、当決算期間の実績値、通期の業績予想(ガイダンス)などの次に、「セーフハーバー条項(”Safe Harbor” Statement)」という、ぎっしりと書かれた長文の記述がありますが、これは何でしょうか?
通期の業績予想(ガイダンス)は、既に経過した過去の事実に関する情報ではなく、将来の見通しに関する記述(”Forward-looking statement”)です。
通期の業績予想のような将来の見通しに関する記述は、将来のことの推測・予測にすぎません。したがって、実際には推測・予測であるのに、過去の事実に関する記述と間違えられて、誤解を招く可能性があります。
通期の業績予想は投資家にとって、とても参考になる有用な情報です。しかし業績予想は将来のことなので、実際の業績は大きく外れることがあります。もし予想が大きく外れて、投資家が大きな損害を受けるかもしれないリスクに対して、情報を出す側の企業を保護しないと、どの企業も通期の業績予想など出さなくなりますね。
そこで、「The Private Securities Litigation Reform Act of 1995(1995年民事証券訴訟改革法)」は、特定の将来の見通しに関する記述に「セーフハーバー(安全な港)」を提供して、情報を出す企業を保護しています。
この法律があることで、企業は、大きな影響を恐れることなく、現時点における市場動向などの分析に基づいて、業績見通しを発表することができ、一方投資家に情報の性質を確実に知らせることができます。
セーフハーバー条項の例
アップルのプレスリリース 2021年度2Q決算、2021年4月28日
(長文なので、最初の段落だけ記載します。)
(当サイト訳)
このプレスリリースは、1995年民事証券訴訟改革法における将来の見通しに関する記述を包含しています。この将来の見通しに関する記述は、COVID-19パンデミックの影響、予想収益・粗利益・営業費用・その他の収益・費用・税率、株主還元の計画、「ネット・キャッシュ・ニュートラル」ポジション維持に関する目標、投資計画、環境イニシアチブに関して、当社の予測に関する制限(限界)を含みます。