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コラム

米国企業の決算で見かける「月末日でない決算日」はなぜか?ポイントは「4-4-5」・「4-5-4」


この記事は、「決算発表の見方」特集の一環として書いています。

「月末日でない決算日」とは?

日本企業の決算日は月末日であることが普通ですが、米国企業の決算は月末日でないことが結構ありますね。
たとえば、アップルの前年度の期末日は、下の通り、「2020年9月26日」でした。

アップルは、これについて、財務諸表の後の注記のなかで以下のように説明しています。

The Company’s fiscal year is the 52- or 53-week period that ends on the last Saturday of September. The Company’s fiscal years 2020, 2019 and 2018 spanned 52 weeks each. An additional week is included in the first fiscal quarter every five or six years to realign the Company’s fiscal quarters with calendar quarters. Unless otherwise stated, references to particular years, quarters, months and periods refer to the Company’s fiscal years ended in September and the associated quarters, months and periods of those fiscal years.
(要約)当社の会計期間は、9月の最終土曜日を年度末日とする、52週(または53週)の期間です。2018年度~2020年度はそれぞれ52週です。5~6年おきに発生する追加の1週は、第1四半期に含めます。

上記のアップルの事例のように、「月末日でない決算日」が発生するのは、その会社が、会計期間を「52週(四半期決算は13週ごと)」と定めているためです。
(閏年を1回またぐ場合は6年後に、閏年を2回またぐ場合は5年後に、会計期間を「53週」にして調整します)。決算日の「曜日」は常に同じです。

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52週(53週)決算のメリット

この方式の最大のメリットは、四半期で週末の数が同じで、13週ごとの繰り返しになるので、(週末に売上が集中する業界では特に)既存店売上高などの管理が有効になること、また、営業日数が同じで同じ曜日に計算期間が終わるので、仕入先・顧客間の業務管理や、在庫管理をはじめ社内の業務管理が効果的に遂行できます。外部の投資家にとっても、四半期の決算情報の比較可能性がより正確になります。

この方式による業務上の暦を、米国では「4-4-5カレンダー」(1ヶ月目は4週、2ヶ月目は5週、3ヶ月目は4週)(2月に年度が始まるケースが多い小売業界では「4-5-4」カレンダー)と呼ばれて、商慣習として古くから使われています。

会計上もGAAPとしてOK、税務上もそのままOKです。

米国の税務上の規定:
IRS(内国歳入庁) Publication 538 (01/2019), Accounting Periods and Methods(抜粋)
52-53-Week Tax Year
“You can elect to use a 52-53-week tax year if you keep your books and records and report your income and expenses on that basis. If you make this election, your 52-53-week tax year must always end on the same day of the week.”

52週(53週)決算のデメリット

この方式は良いことづくめではありません。最大のデメリットは何でしょうか??

それは年次比較です。
52週の年と53週の年度が続く場合、対前年度比較は(まるまる1週間の差がでるので)比較可能性が損なわれるときがあるかもしれません。

なお、大手小売りの中で、コストコやターゲットは業務上の52週(53週)の管理をそのまま、会計期間として使っていますが;
ウォルマートの場合は、業務上は52週(53週)の管理をしておいて、会計期間は通常の月末日に調整しています。情報システムなど結構な手間がかかると思いますが、上記のデメリットは回避できますね。

ウォルマートの開示情報(10-Kなど)には、会計期間は通常の月末日基準ですが、既存店売上高成長率(米国では、「Same-Store Sales」または「Comparable-Store Sales」)は、業務上の52週(53週)管理の数値を使用している旨が注記されています。

なお、日本では52週(53週)決算は見かけないですが、業務上、顧客のカレンダーに合わせるのはありますね。
たとえばトヨタの生産カレンダーに合わせて、下請け会社の広い階層が同じカレンダーを共有したりしています。製造業では生産ラインの関係上、飛び石連休などは休みをずらして生産を集中させることが背景にあります。

以上、ご参考になれば幸いです。

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