モデルナがS&P500構成銘柄に組み入れ
バイオテクノロジー企業のモデルナが、2021年7月21日に、S&P500株価指数の構成銘柄に組み入れらました。
下の日足チャートが示す通り、同社株はここ数日、インデックスファンドが同社株をポートフォリオに組み入れることで急騰していますね。
モデルナは、マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置くバイオテクノロジー企業で、2010年に、幹細胞生物学者のデリック・ロッシ氏の研究を商業化するために設立、フラッグシップ・ベンチャーズという投資会社が大株主で、製薬販売出身のステファン・バンセル氏がCEOです。
投資会社主導のモデルナは、秘密主義・成果主義・苛酷な職場環境で、優秀な博士号の離職が多いタフな会社で知られています。
同社は、2018年に、バイオテクノロジー企業として最大規模のIPOで上場を果たしました。2020年5月時点で、モデルナの時価総額は270億ドルで製品はゼロでしたが、 1年後の現在、同社の時価総額は1290億ドルに達し、同社のワクチンは6300万人の米国人に接種されています。また今年2021年5月、同社はワクチンの売上高17億ドルに対して、12億ドルの初の利益を発表しました。
同社がプラットフォームとするメッセンジャーRNA(mRNA)の技術は、今のところ、新型コロナウイルスに最も効果があると期待されている解決策の1つとされています。従来のワクチンは、不活化したウイルスを投与して免疫を促進するのに対して、モデルナやファイザーのmRNAワクチンの場合は、ヒトの細胞をワクチン工場のように働かせ、体内で細胞にウイルスを破壊するように教えるという違いがあります。
従来のワクチンよりも構造が単純で製造が容易であるため、早期に開発が可能で、今回のように世界全体に配布するための大量生産でも有利となります。
モデルナの今後の株価は?
バロンズは、S&P500に組み入れられた後のモデルナの株価について、短期的には調整する可能性を指摘しています。たとえばテスラは、2020年12月にS&P500に組み入れられて以降7か月間で、株価は6%低下しています(同期間のS&P500指数は約18%上昇)。
ただし、mRNAワクチンは、ウイルスの遺伝情報さえ分かれば、インフルエンザ、癌、HIVなど他の病気にも対応可能で、モデルナの現在のパイプラインには、10種類のウイルスに対するmRNAワクチンが含まれています。
バンセルCEOは、モデルナは今後10年間で10倍の規模になると予想しています(データ元)。