昨年(2021年)の米国株は、大型株が上がったが、中小型株は上がっていない
昨年(2021年)、米国株の代表的な株価指数であるS&P500株価指数は、約27%上昇しました。「2021年の米国株は大きく上昇した」と認識している方が多いと思います。
しかし、米国株全体が2021年に上昇したわけではありません。
中小型株の代表的な株価指数である「ラッセル2000」は、2021年の1年間にわたってレンジ相場が続き、2021年の年初と年末はほぼ同じ水準でした。今年になってもまだそのレンジの中にとどまっています。
下のチャートは2020年年初からの2年間のラッセル2000のチャートです。昨年2021年の1月から現在まで約1年の間、レンジ相場がずっと続いていることがわかります。
2021年だけを拡大して表示させると、以下のような状況です。
下限2100~上限2350あたりの範囲で、上昇・下降を繰り返しています。
しかし、レンジ相場はいつまでも続かないので、上記のようなレンジ向けトレードは勝ち続けることはありません。むしろ、レンジを上または下に抜けると大きなトレンドになることがあります。レンジ相場が続けば続くほど、レンジの外側に損切りと新規のオーダーがたまっていくために、レンジ相場が抜けたときのエネルギーが溜まっていくためです。
ラッセル2000は、今年(2022年)、上と下のどちらにレンジブレイクするでしょうか?
ラッセル2000を、「中小型グロース」と「中小型バリュー」の動きに分解してみよう
中小型株指数であるラッセル2000の構成銘柄には、中小型のグロース株と、中小型のバリュー株の両方が含まれています。
そこで、ラッセル2000を、中小型グロースと中小型バリューに分解して、2021年のレンジ相場を分析してみましょう。
- ラッセル2000の中のグロース株だけで構成されるETF「IWO:iShares Russell 2000 Growth ETF」
- ラッセル2000の中のバリュー株だけで構成されるETF「IWN:iShares Russell 2000 Value ETF」
の2つを、ラッセル2000と相対比較したものが以下のチャートです。
青がラッセル2000、パープルがIWO、黒がIWNです。(参考にS&P500とダウ30とナスダック100も細い線で表示しています。)
ラッセル2000は、2020年の後半は大型株(S&P500・ダウ平均・ナスダック100)をアウトパフォームしています。その内訳としては、中小型グロース株が中小型バリュー株を相対的にアウトパフォームしたことがわかります。
一方、昨年2021年は、ラッセル2000は、前述の通りレンジ相場が続いて大型株をアンダーパフォームしました。
注目すべきは、この2021年のレンジ相場の間、特に中小型バリュー株が中小型グロース株をアウトパフォームして、結果的にラッセル2000は1年間にわたってレンジ相場を形成している点です。
ラッセル2000の中のグロース株とバリュー株の強弱をもう少しわかりやすくするために、下のチャートでは、IWNをIWOで割った「IWN/IWO指数」の長期推移を表示しています。
(クリックで拡大できます。)
2021年年初あたりまでは長期的にIWO(中小型グロース株)が、IWN(中小型バリュー株)をアウトパフォームしてきましたが、2021年になって形成が逆転して中小型グロース株は弱くなり、今年(2022年)に入るとさらに中小型グロース株の弱さが際立っていることがわかりますね。
グロース株が今年2022年に入って売られていますが、これは大型株のグロース株だけでなく、中小型株のグロース株を含めて米国株のグロース株全体が弱いことがわかりますね。
さてラッセル2000のレンジ相場がどちらに抜けるか、注目したいと思います。