(1)破壊的イノベーション
(2)イノベーションで激変するセクターは?
(3)ARKの基幹ETF「ARKK」全構成銘柄リスト(毎日更新)
(4)ARKのETF(ARKKなど)が日本の証券会社で買えないのはなぜ?(ただしCFDは国内でも取り扱いあり)
(5)キャシー・ウッド氏(ARK)、EVに続く破壊的トレンドは「デジタルウォレット」と「ゲノミクス」
(6)ARKはなぜ「ROKU(ロク)」を破壊的プラットフォーマーと見ているのか?
はじめに
ARKKの上位銘柄であるテスラ、スクエア、テラドック、ロクは、それぞれ分野は違いますが、市場を激変させる破壊的な「プラットフォーマー」である点で共通しています。今回の記事では、ロクが驚異的な成長を続けるプラットフォーマーであることを見ていきたいと思います。
TVストリーミングの世界市場の動向
まず、TVストリーミング市場の世界的動向を、地域別、デバイス別、プラットフォーム別などでくわしくまとめているレポートを紹介します。
Conviva
https://www.conviva.com/state-of-streaming/
画像元:上記Webの「RPT_Conviva_SoS_Q4_2020.pdf」
(クリックで拡大できます。)
ロクは、プラットフォーム別でみると、2位以下のアマゾン、サムスン、プレステを大きく引き離して、第1位のシェアを占めています。
ロクのビジネスモデル
ロクは、 ストリーミング視聴用のシンプルな端末「Roku Player」を25ドル~という廉価で販売、簡単なインタフェースでネットフリックスやディズニー+、アマゾンプライム、ユーチューブ、ディスカバリーなどの動画ストリーミングサービスを簡単に利用することができます。アクティブ・アカウント数は、2020年末で5,120万(対前年比で1,430万増加)と急増しています。ロクは、この端末を安く薄利で販売することで、アクティブアカウントを増やし、その後のプラットフォーム収益(広告収入等)を成長させており、プラットフォーム収益は、全収益の約71%を占めています(2020年度)。
また、「Roku TV」と呼ぶ一体型テレビのサービスでは、以下のようにTCLやHITACHIなどのTVメーカーと提携しており、これらのTVには初めからロクのストリーミング機能が内蔵されています。外部接続設定の手間がないために幅広いユーザーに好まれています。
ロクの戦略のポイントは、簡単なユーザーインターフェース、幅広いコンテンツの選択、そして大きな価値を通じて、消費者に優れたストリーミング体験を提供することです。 ユーザーベースの規模を拡大し、ユーザーのエンゲージメントを高め、プラットフォームでのアクティビティを収益化して、プラットフォームに再投資できる好循環を生み出しています。
ロクの2020年12月期の業績
2020年は、パンデミックの巣ごもり需要も相まって、以下のように驚異的に成長しています。
Rokuの米国のアクティブ・アカウントは、2020年末時点で、ケーブル会社最大手の加入者の2倍以上になっています。
情報元:ROKU社のIRサイト
Q4 2020 Shareholder Letter
総収益(総売上高):17億7,800万ドル(前年比58%増)
プラットフォーム収益:12億6,800万ドル(前年比71%増)
売上総利益:8億800万ドル(前年比63%増)
アクティブ・アカウント数:5,120万(2020年度に1,430万増加)
ストリーミング時間:過去最高の587億時間(前年比209億時間増加)
ARPU(ユーザーあたりの平均収益):28.76ドル(12か月ベース)(前年比5.62ドル増加)
米国で販売されたすべてのスマートTVの38%がRokuTVモデル(2020年)
(チャート画像元:ROKU社、Q4 2020 Shareholder Letter)
ロクが破壊的プラットフォーマーである一つのポイントは、グローバルに成長している点です。TVストリーミングは世界的な現象であり、すでにロクは米国内市場を超えて事業展開しています。2020年、Roku TVはカナダで最も売れたスマートTVOSでありRokuの市場シェアは31%、ブラジルやメキシコでも、事業規模とエンゲージメントの拡大が引き続き順調に進んでいます。また英国では、プレミアリーグを配信するチャンネルを提供、アイルランドでは、国内最大の放送局と契約を結んでいます。
なお例年、第1四半期は、季節的に収益が下がり、最も軟調な四半期となります(季節的に強い第4四半期よりも約25%低下します)。ただし堅調な成長が見込まれ、2021年の第1四半期の見通しは、4億8,500万ドル(前年比51%増)の収益を見込んでいます。
2020年は、パンデミックの混乱がTVストリーミングへの根本的な移行の触媒として機能して、今後の同社の国際展開にとって重要な年になったと考えます。
以上、ご参考になれば幸いです。