ツイッター株とリンクするテスラ株
2022年4月25日、ツイッターはイーロン・マスク氏からの買収提案を受け入れることで合意したと発表しました。マスク氏が株式の100%を取得、買収総額は約440億ドル、買収手続きは今年2022年中に完了して株式は非公開化される、と発表されました。
そのツイッター株は、26日の引けは49.68ドルで、▼3.9%の下落でした。
マスク氏による1株54.2ドルの買収が2022年に完了したと仮定すると;
(54.2 – 49.68) / 49.68 * 100 = 9.098
で、「年内で約9%の投資リターン」となります。
約8カ月で9%のリターンは悪くないですね。
それでもツイッター株は昨日売られ、買収提案価格の54.2ドルから大きく乖離して、▼3.9%の下落となっているのはなぜでしょうか?
原因は、市場がマスク氏の買収資金調達方法が不透明であることを懸念しているため、と考えられます。この懸念を明白に示しているのがテスラ株です。テスラ株は昨日、以下のチャート通り、▼12.1%の大幅下落で引けています。
重要なポイントは、「マスク氏がツイッター買収のために、テスラ株等の保有株式の一部を売るかどうか」とされています。
ツイッターは25日、マスク氏がデットファイナンス(借り入れとマージンローン)で255億ドルを確保し、210億ドルのエクイティファイナンスを行う、とSECに開示しました。
ブルームバーグの分析によれば、マスク氏が保有するキャッシュ同等物は、(ツイッター株9.1%取得に26億ドルを費やした後)現在は約30億ドルで、その他の資産は約1840億ドル相当のテスラ株や、スペースXなどの持ち分です。
バロンズの解説では、マスク氏は上記デットファイナンスのおける125億ドルのマージンローンの中で、現在の株価で6千万株超のテスラ株(テスラ株の株価によって株数は増減します)を差し出す必要があります。これを除いて、マスク氏が自由に処分できるテスラ株の価値は250億ドルを超えており、それらをもし売却してキャッシュと合わせれば、エクイティファイナンスの210億ドルを賄うことができます。
株式を担保に借入や信用取引をすると、株価の下落によって担保の追加差し入れが必要になりますね。
ツイッターの買収資金の一部を確保するためにマスク氏がテスラ株を使用する可能性があるということは、ツイッター株とテスラ株がリンクされていることを意味します。テスラ株が上昇すれば、ツイッター株も上昇する可能性があり、その逆も同様です。
著名な投資ファンド経営者GaryBlack氏は、「マスク氏が、ツイッターの買収資金調達のためにテスラ株を売却するつもりはないと言うだけで、(テスラ株の売り圧力の背景となっている)噂を止めることができる。」とツイートしています。
ツイッターの合併契約書はまもなく発表される予定です。
以上、ご参考になれば幸いです。