「他の投資家がどのような相場観を持っているのか」をウォッチすることが重要
米国株は先月の大幅下落から戻り基調でしたが、先週金曜日は終盤に大きく崩れましたね。
CPIの強い数字と、タカ派の急先鋒ブラード・セントルイス連銀総裁が0.5%利上げを示唆、そしてウクライナ情勢緊迫、と材料がそろいました。
最近、雇用統計ではあまり動きませんが、CPIではとにかく動きますね。
足元の最大の懸念はインフレ長期化とFRBの金融政策引き締めペースなので、CPIが注目されるのは当然ですが、そもそも、大口投機ポジションの変動にCPIのタイミングが使われているとみるべきでしょうか。
このような状況のもと、機関投資家をはじめとする市場参加者が、市場の先行きをどのように考えているのか(相場感)を分析することはとても重要ですね。
他の投資家の相場観を見る上で使われる2大基本指標は、「VIX指数」と「プット・コール・レシオ」です。
以下のチャートは、S&P500先物の日足チャートに、VIX指数(赤いライン)と、下側にプット・コール・レシオをならべています。2本の赤い垂直線は、2018年終盤の急落と、2020年序盤のコロナ急落を示しています。
(クリックで拡大できます。)
プット・コール・レシオ(PCR)については、以下の別記事をご参照頂ければと思います。CBOEの公表する複数のプット・コール・レシオのうち、投機目的のオプション利用をみるために「EQUITY」のPCRを使うのが一般的です。
プット・コール・レシオは、逆張り的に使われることが一般的な指標ですが;
上の2本の垂直線で示した2018年終盤と2020年序盤は共に、「株価が大底をつける前にプット・コール・レシオは上昇から下落に転換しやすい」性質を示しています。
足元のVIX指数とプット・コール・レシオの状況
先週金曜のVIX指数は、27.36まで再上昇しました。VIX指数の2020年代のコアレンジは、15ポイントから20ポイントとされています。一方PCRは、約1.16で推移しています。
上のチャートの通り、足元のVIX指数とプット・コール・レシオは、2018年終盤や2020年序盤と比較すると、水準自体はそれほど高いわけではなく、急上昇して急降下するような感じではないことがわかります。むしろ「じわじわ上がって、ある程度高い水準で高止まり」しそうな感じがします。
これが米国株の相場観を示唆しているとすると、足元の米国株相場は、急降下して急反発するような感じではなく、だらだらと調整が続く可能性がある、といえそうです。
愛読している江守哲氏のメルマガでは、「3月には利上げが実施され、7月には追加利上げや量的引き締めの可能性が示されるだろう。9月から10月にかけてこの動きを織り込むような調整があるだろう。今年はあまり上がらずに、上下に振れやすいと考えておく。」と分析されています。
以上、ご参考になれば幸いです。