本日は注目の4月CPI
今晩は注目の4月米消費者物価指数(CPI)の発表がありますね。
悪材料ばかりで底打ちした感じがまだない米国株ですが、インフレの鈍化傾向が明らかになってくれば、市場のセンチメントは改善されるでしょうね。
さて、今回の記事では、インフレ率の話などでよくでてくる「ベース効果」について、まとめておきたいと思います。
追記:4月CPIは以下の通りでした。
4月米消費者物価指数(CPI、前年比)+8.3%、予想 +8.1%
4月米CPIエネルギーと食品を除くコア指数(前月比)+0.6%、予想 +0.4%
4月米CPIエネルギーと食品を除くコア指数(前年比) +6.2%、予想 +6.0%
(残念ながら強い値ですね。金利上昇、ドル買い、米国株先物は下げています。)
「ベース効果」とは何でしょうか?
まずはビジュアルで示した方が良いと思ったので、エクセルでサンプルをつくりました。
まず、下のチャートは、「ベース効果」がない事例です。ある指数(青い棒グラフ)が一定の率で増加しているため、対前月比の黄色い折れ線グラフと、対前年同期比の赤い折れ線グラフが、ともに水平で推移しています。
なおCPIは、消費者物価を指数化したものですね。
CPIの対前月比は、(当月のCPIー前月のCPI)/前月のCPI * 100
CPIの対前年同月比は、(当月のCPIー前年の同月のCPI)/前年の同月のCPI * 100
となります。
次に、下のチャートは、「ベース効果」がある事例です。
まず左側の赤い四角に注目ください。
指数(青い棒グラフ)は、2020年4月・5月に特殊な理由で減少し、6月に反転増加、7月には元のペースに戻っています。
次に右側の赤い四角に注目してください。
2021年4月・5月・6月の対前月比(黄色の折れ線グラフ)は一定ですね。
一方、対前年同月比(赤い折れ線グラフ)の方は、(2020年4月・5月の指数が特殊な減少をしたために)2021年4月・5月の対前年同月比は特殊な増加、(2020年6月の指数が特殊な回復をしたために)2021年6月の対前年同月比は逆に特殊な減少を示していますね。
「ベース効果」とは、上のチャートのように、前年の特殊な動きが翌年の対前年同月比の数値に影響をあたえる効果のことを意味します。
上のチャートの通り、「ベース効果」は、増加する方向と減少する方向の2つの方向があるので、アナリストの人が言葉だけで説明したりしている場合、結構わかりづらいですね。
「ベース効果」を排除するためには、対前年同月比ではなく、「対前月比」が有効ですね。(ただし対前月比は季節性などの影響がでることがあります。対前年同月比は季節性を排除できますね。)
また、「対2年前の同月比」もベース効果の排除に有効です。
2022年4月のCPIにおける注意点
ということでちなみに、(今晩発表される4月の米CPIをはじめ)今年の毎月の米CPIにはベース効果がある、とされています。
これの理由は、昨年2021年のCPI指数が、バイデン政権による現金給付という特殊要因によって、2021年12月にかけて280.126まで上昇したために、今年2022年の対前年同月比の数値はこの特殊事情が反映されて、(特殊事情を除いた実態よりも)より小さくあらわれる、ためです。
このベース効果があるために、今年2022年のCPIは特に、「対前年同月比」ではなく「対前月比」がポイントになります。先月2022年3月のコアインフレ率は、前月比+0.3%に留まり、2月の+0.5%、1月の+0.6%から低下基調にあります。
以上、CPIをみる上での参考になれば幸いです。