世界初の「ビットコインETF」の現物保管方法と監査を目論見書で確認してみよう

世界初の「ビットコインETF」がカナダで承認

先週は、米国株相場全体としては静かな展開でしたが、テスラの15億ドルのビットコイン投資の報道によって、ビットコインや関連銘柄は活況でしたね。

そうした中、ビットコインETFに関する以下の大きなニュースが出てきました。

Canadian regulator clears launch of world’s first bitcoin ETF – investment manager(Reuter)
カナダの証券規制当局が世界初のビットコインETFを承認(ロイター:2021年2月13日)

以下は、ロイターの報道を、当サイト(米国株.com)が要約したものです。

2021年2月12日、トロントに本拠を置く資産運用会社Purpose Investments Incは、「カナダの証券規制当局(オンタリオ証券委員会:OSC)が、世界初のビットコインETF(上場投資信託)の立ち上げを承認した」と発表しました。ロイターは、 OSCのロイターへの声明でETFの承認を確認しました。

CFRA(注:ニューヨークを拠点とする機関投資家向け株式調査会社大手)のリサーチディレクターTodd Rosenbluth氏によると、米国では2013年以降8社がビットコインETFを申請しましたが、承認には至っていません。SEC(米証券取引委員会)が焦点を当てていると思われる論点の中には、相場操縦の可能性や、ファンドが当該資産を保有していることを確認するカスタディー(保管)を監査するプロセスなどがあります。今回のカナダ当局によるETFの承認が、米国SECにおけるビットコインETFの承認に影響すると期待する見方がありますが、新しいリーダー(※)の下にあるSECは、VanEck(ニューヨークの資産運用会社)などからの申請書類をレビューするために、十分な時間をかけるだろう」とRosenbluth氏は述べています。

※米商品先物取引委員会の前議長であるゲイリー・ゲンスラーは、先月、バイデン新大統領によってSECの新議長に任命されました。

Purpose InvestmentsのWebサイト(Factsheet)では、当ETFは2021年2月11日にトロント証券取引所(TSX)に上場予定となっていますが、先週中はまだ開始されていないようです。

ビットコインETFのビットコイン保管方法・監査の方法を目論見書で確認してみよう

Purpose Investmentsのプロスペクタス(目論見書)では、同ETFのために購入するビットコインの注文方法、カスタディ(保管)の手続き、監査の手続きが記載されています。以下は、目論見書の該当箇所を、当サイト(米国株.com)が抜粋、要約したものです。

PROSPECTUS(目論見書)
(ビットコインの注文方法、カスタディ(保管)の手続きについて抜粋)
当該ETFのビットコイン購入は、OTC(Over the Counter:相対取引)のカウンターパーティから購入されます。OTCカウンタパーティには、Gemini(米国の仮想通貨取引所)、Coinbase Pro(米国の仮想通貨取引所)、その他政府管轄下の取引プラットフォームやOTC業者が含まれます。
取引が承認されると、カストディアン(カナダの商業銀行Cidel Bank Canada傘下のCidel Trust Company)に通知され、取引の支払いが決済されます。サブカストディアン(上記米国の仮想通貨取引所のGemini)がファンドに代わってビットコインを受け取ると、当該ビットコインは即時にコールドストレージに移され、分別管理されて同ETFに割り当てられます。サブカストディアン(Gemini)は、ジェミニBSA / AMLプログラムを開発、さらにフォレンジックソフトウェアを使用しています。サブカストディアン(Gemini)では、これまでにホットウォレットまたはコールドストレージからの不正アクセスによる損失の発生はありません。
(サブカストディアン(Gemini)の内部統制について抜粋)
サブカストディアンがコールド・ストレージからからビットコインを転送する場合、複数の署名者を必要とします。サブカストディアンのCEO(最高経営責任者)とPresident(社長)は、コールド・ストレージから個別にまたは共同でビットコインを転送することはできません。 すべての秘密鍵は、オフサイトの安全な施設に保管されます。 すべての従業員は、犯罪および信用の身元調査を受け、雇用期間中継続的な身元調査の対象となります。 従業員によるすべてのリモートアクセスは公開鍵認証を使用します。
(監査の手続きについて抜粋)
サブカストディアン契約に従い、サブカストディアン(Gemini)は、毎年、内部統制に関する「SOC2タイプ2レポート」をファンドに提出します。ファンドは、監査人(Ernst & Young LLP)にょるファンドの年次財務諸表の監査に関連して、監査人によるレビューのために当該レポートを利用可能にします。
ただし、サブカストディアンの当該レポートが、監査人のレビューにおいて利用不可となるリスクがあります。 その場合、ファンドは、ファンドの監査人が内部統制をテストできるように、書面でサブカストディアンに確認を要求します。ファンドは、カストディアンおよびサブカストディアンから、サブカストディアンの当該レポートを監査人が利用できない場合にそのような書面による確認が提供されるという合理的な保証を受けていますが、そのような書面による確認が提供されない、および/または監査人がカストディアンおよびサブカストディアンの内部統制を直接テストすることができないリスクがあります。
※’監査人がサブカストディアンの「SOC2タイプ2レポート」をレビューできない場合、またはサブカストディアンの内部統制を直接テストできない場合、カナダ公的説明責任委員会(監査を行うカナダの会計事務所の監督機関)の規定によって、ファンドの年次財務諸表の監査を完了することができません。

(注)SOC2タイプ2レポートとは
SOC(Service Organization Controls) II Report:ITサービスの受託会社(データセンター、クラウドサービス等のアウトソーシング事業者)のセキュリティ、可用性、処理のインテグリティー、機密保持、およびプライバシーに関連する内部統制について、監査法人が手続きの結果と意見を表明した報告書です。

別の監査法人がサブカストディアン(Gemini)のIT内部統制をテストして、SOC2タイプ2レポートをサブカストディアン(Gemini)に提出する

ビットコインETFの監査法人(Ernst & Young)は、このETFの年次監査において、上記のSOC2タイプ2レポートを参照する、
という流れですね。

なお、信託銀行世界最大手のバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNY Mellon)は先週11日、ビットコイン等仮想通貨のカスタディー(保管)サービスを年内に開始する予定と報道されました。
また、その後13日に、ドイツ銀行もカスタディー事業を計画中、と報道されています。
今後、カスタディー・サービスの普及によっては、ビットコインETFをめぐる米国SECの承認の状況に影響があるかもしれませんね。

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