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ランキングと個別銘柄チャートの最終更新日は、2022年12月25日です。
コラム

スクエアが公表したビットコイン投資の「ホワイトペーパー」に注目してみよう

ビットコインをめぐる米国企業の最近のニュース

昨日の米国株市場では、マスターカードが同社のカード所有者に対して、仮想通貨での取引を可能にするというニュースが伝わりましたね。

このように、決済業者がユーザーに対してビットコインの使用を可能とするニュースとしては、2020年10月21日、ペイパルが、同社のユーザーが自分のアカウントから暗号資産を購入、保持、販売できるサービスの開始を発表、ビットコイン相場が上昇しました。

一方で、上場企業自体がビットコインに投資する、というニュースでビットコイン相場が急騰するケースが出てきています。

今週、テスラがビットコインへの15億ドルへの投資(および将来的に同社製品の支払いでビットコインを受け付ける計画)について開示したばかりです。先日の記事では、この件について、テスラがSECに開示したフォーム10-Kの内容を確認しました。
テスラのビットコイン投資15億ドルを、年次報告書「10-K」で確認してみよう
テスラがビットコイン投資15億ドルを開示した「10-K」とは? 2021年2月8日、テスラが年次報告書「フォーム10-K」においてビットコインへの投資15億ドルを開示したことで、ビットコインが急騰して最高値を更新、またビットコイン関連...

米国の上場企業自体がビットコインに投資するニュースによってビットコイン相場が大きく動いたケースとしては、今回のテスラの前では、昨年10月のスクエアのケースがあります。ツイッター創設者のジャック・ドーシーCEOが経営するスクエアは、昨年2020年10月8日、同社が5000万ドル(53億円相当)のビットコインの購入を発表、ビットコイン相場が急騰しました。

Square, Inc. Invests $50 Million in Bitcoin

実は、このスクエアのビットコイン購入に関連して、スクエアは興味深い「ホワイトペーパー」を一般公開しています。

スクエアが公表した、ビットコイン投資の「ホワイトペーパー」

Square Inc.’s “Bitcoin Investment Whitepaper “

このホワイトペーパーの目的は、ビットコインへの投資を推奨することではありません。このペーパーは、他の企業がビットコインに投資する際の参考情報となるように、スクエアが実際に行ったビットコイン投資の目的や方法をまとめたものです。

ジャック・ドーシーCEOは、ツイッター上で、「スクエアが5千万ドルをビットコインに投資したことより更に重要なのは、私たちがどのようにしてそれを行ったのかを(他の企業が同じくできるように)シェアすることだ」とコメントしています。また、同社はビットコインの普及に向け、COPAという取り組みによって特許をオープンにしたり、オープンソースの開発投資を行っています。

このホワイトペーパーは、以下のような構成になっています。

(注)以下は、当サイト(米国株.com)が、日本語に要約したものです。

2020年10月7日、スクエア社(以下当社)は、合計で約4,709ビットコイン(5,000万ドル)を購入しました。当社は、ユーザーにビットコインを売買する機能を提供する「Cash App」を通して、2018年からビットコイン市場を牽引しています。ビットコインの潜在力と持続的成長を確信し、当社は「Square Crypto」を設立、ビットコインのオープンソース作業に貢献しています。また当社は最近、非営利団体であるCryptocurrency Open Patent Alliance(COPA)も立ち上げました。暗号資産の技術革新を促進させ、特許取得済みの技術へのアクセスを開き、企業や個人が特許の侵略者を防御することを支援しています。

暗号資産の急速な進化、マクロ経済の前例のない不確実性、通貨レジームの観点から、当社は今こそが、米ドル建てのバランスシートを拡張してビットコインに投資する適切な時期であると考えています。当社はビットコインを世界経済における「エンパワーメント(権限の付与)」の手段と見ています。 ビットコインは、世界中の個人がグローバルな金融システムにアクセスし、自身の財務基盤を確保する手段になります。 この投資は、私たちの使命を推進する上で重要なステップです。

他の企業が当社と同様のビットコイン投資を検討するときの参考情報として、このドキュメントをオープンソース化することを選択しました。

購入手続き
購入の秘匿性を維持し、購入価格のスリッページを制御するために、当社財務部門は、Cash App(前述)の一部で使用しているビットコインのリクイディティ・プロバイダーとのOTC取引(Over The Counter:相対取引)によって、ビットコインを購入しました。コストとプライシングに関するリスクを低減させるために、公開されているビットコインインデックスのスプレッドを交渉し、ボラティリティが低く市場の流動性が高い所定の24時間の時間加重平均価格(TWAP)を使用して決定しました。流動性プロバイダーを選択する際に評価した基準には、価格設定、年間のトレードデスクのボリューム、および既存のトレーディング・決済手続きとの整合性を考慮しました。(具体的な取引業者は明示せず、過去に利用したことのある、OTC業者をリンクで添付しています。)

カスタディー(保管)
Cash App(前述)の立ち上げの際に、当社は、顧客の資金を保護するための暗号資産インフラの構築に多額の投資を行いました。ビットコインのような暗号資産にアクセスして移動するためには秘密鍵を必要とし、転送は取り消せないため、この秘密鍵の保護は重要です。 ビットコインのサポートを開始して以来、当社はビットコインのコールド・ストレージに対して膨大な開発を手掛けており、当社の作業をコミュニティ内で共有することが重要であると認識しています。 結果的に、当社のビットコイン保有を防御するハードウェアセキュリティモジュールのソリューションである「Subzero」をオープンソース化しました。 (なお、いくつかのサードパーティが提供しているカスタディもリンクしておきます。)

保険
コールド・ストレージでの保有をさらに保護するために、当社はビットコインの内部または外部の盗難から保護するために犯罪保険契約を締結しています。なおホットウォレットとコールドストレージの両方で利用できる保険にはさまざまな種類があります。

会計処理
購入したビットコインは、現在の米国会計基準では、「耐用年数を確定できない無形資産」であり、取得後に公正価値が当社の帳簿価額を下回った場合は、減損損失を認識する必要があります。 一方で市場価格の上昇については売却まで帳簿価格の修正を行いません。(Accounting Standards Codification (ASC) 350, Intangibles—Goodwill and Other)(なお、この会計処理については、先日のテスラがSECに開示したフォーム10-Kにおいても、同様の記載があります。)

当社の資産の一部をビットコインに割り当てるという当社のこの決定の内容が、同様の戦略を検討している他の企業にとって有用な情報となることを願っています。

以上、スクエアが公開したホワイトペーパーが、ビットコイン相場の今後に影響を与える可能性があると考えて記事にしました。
参考になれば幸いです。


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