はじめに
今晩、ジョージア州の上院決選投票(2議席)がありますね。
昨日の米国株市場の大幅下落をみていると、足元のウイルス感染拡大やワクチンの状況と同様に、この決選投票は非常に大きな材料とみられていることがわかります。
決選投票のことを英語では「Runoff」と言います。
例文:Markets expect GOP to hold Senate in Georgia runoff.
訳:市場は、共和党がジョージア州の上院決選投票を抑える(少なくとも1議席取る)と期待している。
※GOP(Grand Old Party)は共和党のニックネームです。
もし民主党が2議席とも取ると、上院の議席数は共和党50、民主党50と全く五分になり、議長が副大統領のカマラ・ハリス氏になるため、民主党が上院を実質上支配することになります。
先の本選では共和党議員の得票が民主党議員を上回りましたが、直近の世論調査では民主党がリードしており、勝敗の行方は全く予測できません。
大統領選後、これまで(民主党が下院で過半数であるものの、)共和党が上院を抑えているので、民主党左派の力が抑えられ、増税等が避けられるため株式市場には最適と解釈されていました。
民主党が2議席取って「トリプルブルー」となると、なにが起きるか?
もし民主党が2議席取って「トリプルブルー」となると市場で起きると予想されるのは:
- 金利が上昇
- 株式市場全体は下落
- グロース株からバリュー株へのシフト
- クリーンエネルギー関連などが再度買われる
- ドルは売られるとみる予測がありますが、昨年後半からドルは極端にショートに偏っていますので、金利上昇と株式下落のリスクオフでドルが急速に買い戻されるリスクもあります。ビットコインは売られると思います。
なお、短期的に株式市場が下落しても、都合よくいいとこどりで「巨額財政支出・景気拡大で株高」という解釈がそのうち浮上する可能性もあります。
新年でマーケットの基調が変わる可能性があるので、とにかく要注意なんですね。
ただし共和党が1議席でも抑えれば一つ懸念材料が消えるので、市場にはプラスだと思いますが、さてどうなるでしょう。
日本の「ねじれ議会」に相当する英語表現は、あえてあげると「Divided government」だそうです。なお「Hung parliament」という英語表現がありますが、「ねじれ」とは違って「絶対多数の政党がない議会」のことをいいます。