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ランキングと個別銘柄チャートの最終更新日は、2022年12月25日です。
コラム

「自社株買い」は規制するべきか?(米国では来年から課税スタート)

米国では来年より自社株買いへの課税が始まる

本日の記事は、自社株買いについてです。
米国では、来年から自社株買いに対して1%の課税が始まります。

まずは以下のブルームバーグの参考記事をご参照ください。これは、来年から始まる自社株買いへの課税を前にして、「駆け込み」の自社株買いが今年の相場の下支えになるかも、という内容です。

「Fedプット」機能せず-米株式市場の救世主、企業CFOが担う
Bloomberg, 2022-08-30

  • バンカメのアナリストによると、法人顧客が先週購入した自社株の規模は32億ドル(約4400億円)で、1月前半以来最大
  • 来年の自社株買いへの1%課税を見込んだ企業が自社株購入を前倒ししている可能性もある
  • FRBは過去10年にわたり、「Fedプット」として株式市場の下支え役を果たしてきたが、今や高インフレとの闘いに集中し、株価上昇を好まない。「Fedプットは機能しなくなったかもしれないが、CFOプットはまだうまくいっており、米国の企業は自社買い戻しや配当を通じて大量のキャッシュフローの一部を投資家に還元し続ける」との見方を示した。

Fedプットとは、相場が下落してもFRBが金融緩和策により相場を支えてくれるとの期待が、保有株式の損失を限定する「プット・オプションの買い」と同じ役割を果たすことを意味しています。バーナンキ第14代FRB議長のときに「バーナンキ・プット」という言葉が浸透しました。
このFedプットにかけて、上のブルームバーグの記事では、企業の財務部門による自社株買いが株式市場を下支えする期待を「CFOプット」と表現しているわけですね。

「駆け込み」の自社株買いが今年発生しているなら、逆に課税が始まる来年からは、相場の重しになる可能性がありますね。

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インフレ抑制法(Inflation Reduction Act of 2022:IRA法)

そもそも米国で来年からはじまる自社株買いへの課税とは、どういうものなのでしょうか?

この課税は、今年2022年8月16日にバイデン大統領の署名で成立した「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act of 2022:IRA法)」において、EVや太陽光パネルの設置など環境に配慮した設備投資に関する減税措置などが盛り込まれた一方で、その税源として課税強化が盛り込まれたことによるものです。

Inflation Reduction Act of 2022

主要な課税強化は以下の2つです。:

  • 純利益の最低15%を課税する「ミニマムタックス(AMT)」
  • 本記事のテーマである「上場企業の自己株式取得に対して時価の1%の課税(Excise Tax)」(新規発行した分は差し引き、また自社株買い金額の課税下限が設定され、また自社株が従業員持ち株制度などに活用される場合なども対象外です。)

経済格差の是正を掲げる米民主党では、自社株買いについて、企業経営者や富裕層が恩恵を受けやすく「企業による最も利己的な行為の一つ」と批判する声が根強くありました。昨年1年間の自社株買い額は、アップルが859億ドル、アルファベット(グーグル)が502億ドル、メタが445億ドルでトップ3を占めていました。今回の課税措置には自社株買いを税収源としつつ、過剰な自社株買いをけん制し、余剰資金を賃上げや雇用の拡大、設備投資や研究開発などに振り向けるよう促す狙いがあります。
参考記事:日経

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「自社株買い」は、規制するべきか?

株式投資家としては、上記の米民主党内の意見に違和感を覚えると思います。

自社株買いは、発行済み株式数の減少を通じてEPSを押し上げ、ROEも上昇し、一般的に株高要因とされていますね。

そもそも、企業が景気の先行き見通しによって資金を(設備投資などに振り向けずに)自社株買いに振り向ける行為は、一般に合理的な行為といえるでしょう。

たとえば、バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏は、自社株買いをたいへん重要視しています。同社は配当を一切行いませんが、一方で自社株買いに積極的であるのは、「市場環境によっては自社株買いが最も有効な選択肢である」と考えているためです。
バフェット探求:バフェット氏が株主価値を上げるためにとる「3つの方法」
はじめに ウォーレン・バフェット氏といえば、「約50年で約10,000倍のリターン」とか「伝説的なバリュー投資家」といった表現がよく使われますね。 しかしバフェット氏については、単なる投資手法というよりも、もっと広い事業手法の観...

結局、「自社株買い」は、規制するべきでしょうか?

結局「自社株買い」とは、政権によってメリットとデメリットのどちらに焦点があたるかが変わり;

  • 企業の自由な活動や株式市場を重視する政権では規制しないことであり、
  • 企業の自由な活動や株式市場よりも、経済格差の是正を重視する政権では規制するべきこと

つまり、どちらにもなる

ということだと思います。

以前は、米国でも日本でも自社株買いは「禁じ手」でした。しかし米国では1980年代のレーガン政権のもとで自社株買いが解禁され現在に至っています。日本では2001年の商法改正で自社株買いが解禁されました。

それ以降ずっと自社株買いは解禁されてきました。つまり企業の自由な活動、株式市場や株主を重視する考え方がずっと続いてきた、といえます。トランプ政権では特に、大幅な所得・法人減税を実施、富裕層や特定の企業の優遇との批判もありました。

それが2021年に誕生した民主党バイデン政権によって、企業の自由な経済活動や株式市場や株主を重視する政権から、経済格差を是正し中間層の保護を重視する政権に変わりました。

自社株買いへの今回の1%課税について、効果を疑問視する向きもあります。また将来の増税の第一歩になるのか、現在では不透明です。
以上、ご参考になれば幸いです。


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