はじめに
同社は、2022年11月03日に発表した2022年3Qの決算発表で、それまでの1株当たり1ドルだった配当を無配に変更、さらに今後2年間で最大15億ドルの自社株買い計画に置き換えることを発表しました。これを受けて、ルーメンの株価は約18%下落しています。
Capital Allocation Update
After extensive review, the Board of Directors has eliminated the company’s annual dividend of $1.00 going forward and has authorized an up to $1.5 billion, two-year share repurchase program. Under this revised capital allocation policy, the company plans to continue to invest in growth initiatives while remaining relatively net leverage neutral.
直近の配当利回りが10%を大きく超えていたのは、以下のチャートの様に株価が延々と下げていたことも影響しています。
さらに突然の無配への変更です。
「配当利回りだけで配当株投資を行っていはいけない」という見本のような銘柄だと思います。配当の方針は(株主総会ではなく)取締役会で決められますから、今回のようにあっさりと大きく方針転換される可能性は、配当株投資の上では肝に銘じておく必要があります。
ところで、この銘柄を昨日買っているのはどういう投資家なのでしょうか?
同社の取締役会が、はじめて理解できる方針を発表した、とみることもできると思います。
ルーメン・テクノロジーズの2022年3Qの決算
それではあらために、同社の今回の決算の内容をみてみましょう。
本業の収益は、減少傾向が続いています。
一方で同社は事業再構築・債務圧縮をすすめています。
- 8月1日、ラテンアメリカ事業をストーンピークに27億ドルで売却完了
- (今回の決算に含まれていませんが)11月3日、EMEA 事業をColt Technology Services に18億ドルで売却するための独占契約締結を発表
- (今回の決算に含まれていませんが)10月10日、全米20 州のILEC 事業をApolloに75億ドルで売却完了
EBITDAが増加している原因は、上記のラテンアメリカ事業の売却益が影響しているとみられます。
調整後(特別項目を除く)フリーキャッシュフローは、前年同期比10.7億ドルに対し、当四半期は 6.2億ドルでした。無配に変更したものの、一方で今後2年間で最大15億ドルの自社株買いに変更する背景としては、以下の要因によってフリー・キャッシュフローには余裕があることを意味しています。
- 2022 年10月3 日、(前述の)全米20州のILEC事業売却によって、約56億ドルを受け取り
- 2022年9月30 日以降、債務約32億ドルを返済
- 2022 年11月4日に、1.1億ドルの優先債を償還予定
事業再構築・債務圧縮をすすめている同社が今後どのように変わっていくのかは注目であると思います。