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ランキングと個別銘柄チャートの最終更新日は、2022年12月25日です。
コラム

砂糖CFD入門ガイド(砂糖は比較的トレードしやすいコモディティ)

はじめに

今回の記事では、農産物CFDの中の「砂糖CFD」について、まとめておきたいと思います。

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砂糖の原料、砂糖の先物市場

砂糖の原料は、サトウキビ(Sugarcane)と甜菜(テンサイ、Sugar Beet)の2つです。世界の砂糖生産の約75%がサトウキビからで、残りの約25%が甜菜からです。サトウキビはブラジルをはじめとした温暖な地域で栽培され、一方甜菜は寒冷地で栽培されています。

なお、サトウキビは世界のバイオマス・エタノール生産の約8%の原料でもあります。サトウキビから砂糖を生産する工程とエタノールを生産する工程は、途中までは同じなので、砂糖生産世界首位のブラジルの多くの工場では砂糖とエタノールの両方が生産できるシステムを採用しています。両者の生産比率は、砂糖や原油の国際市況等によって変化します。

エタノールは、別名「エチル・アルコール」で、要はアルコールです。

ブラジルでは、オイルショックをきっかけに、石油燃料の代わりとして、さとうきびを原料にバイオエタノールの生産をすすめました。ブラジル国内では、バイオエタノールとガソリンの比率を変えられる「フレックス車」と呼ばれ車が普及しています。

「粗糖(Raw sugar)」とは、サトウキビから粗糖を生産する際に、精糖にまで精製する直前の段階の砂糖で、一方「白糖(White sugar)」は精製後の砂糖をいいます。各国とも国内業者保護のため精糖に高い関税をかけており、粗糖が主な貿易品目となっています。なお甜菜は産地で精糖にまで精製されるため、粗糖としては出回りません。

砂糖CFDの原資産である砂糖先物としては、米国ICEの粗糖先物(Sugar No.11)と、英国ICE Futures Europeの白糖先物(White Sugar)の2つが上場されています。

上記の「Sugar No.11」とよばれる等級の粗糖先物価格が、世界の砂糖価格の最も代表的なベンチマークになっています。

米国ICEの粗糖先物(Sugar No.11)

コーヒー・砂糖・綿花で世界最大の先物取引所であったNYBOT(ニューヨーク商品取引所)は、2007年に、ICE(Intercontinental Exchange:インターコンチネンタル取引所)に買収され、現在の米国砂糖先物は、ICEで取引されています。

ICEの米国砂糖先物(Sugar No.11)のWebサイト

英国ICE Futures Europeの白糖先物(White Sugar)

英国の砂糖先物はICE Futures Europe(旧LIFFE)で取引されています。
ICE Futures Europeの英国砂糖先物(White Sugar)のWebサイト

LIFFE(ロンドン国際金融先物取引所)は、ユーロネクスト傘下→ICE傘下→ICEがユーロネクストをスピンオフした後もICE傘下、と変遷しています。
2007年、ユーロネクストとニューヨーク証券取引所が合併して、NYSEユーロネクストが設立、その後2012年に新興取引所のICE(インターコンチネンタル取引所)が、NYSEユーロネクストを買収しました。その後ICEは、2014年にユーロネクストをスピンオフしましたが、その際にLIFFE(ロンドン国際金融先物取引所:2002年からユーロネクスト傘下)は、ICE Futures EuropeとしてICE傘下に残りました。

なおIG証券では、上記の2つの砂糖先物を原資産とする2種類のCFDを取引できます。
それらの砂糖CFDの価格は、砂糖先物の価格と連動しています。

砂糖の値動きの特徴

それでは次に、砂糖の値動きの特徴をみてみましょう。
以下は、2021年年初を基点に、砂糖(赤の太いライン)の価格を、小麦(青ライン)、コーン(緑ライン)、大豆(オレンジライン)と相対比較したものです。

(クリックで拡大できます。)

上のチャートをみてわかる通り、砂糖の値動きは、コーンや小麦と比べてとても穏やかな値動きをしていますね。1日の変動率は約2%で、S&P500などの株価指数CFDと同程度の変動率です。これは代表的な農産物CFDのなかでは最も小さい変動率です。また、レンジの中で推移することが多いので、ビギナーでも取引しやすいCFDであるといえます。
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世界の砂糖生産・消費・輸出・輸入ランキング

以下の統計データは、米農務省(USDA)が公表している世界の砂糖生産・消費・輸出・輸入ランキングです。
(データ元:Sugar: World Markets and Trade、米農務省

以下の通り、ブラジルとインドが砂糖の2大生産国です。消費ではインドが圧倒的な首位となっています。

世界の砂糖生産量ランキング(2022/23)

 国名生産量(千ton)
1位ブラジル36,370
2位インド35,800
3位EU16,255
4位タイ10,500
5位中国10,000

世界の砂糖消費量ランキング(2022/23)

 国名消費量(千ton)
1位インド29,500
2位EU17,000
3位中国15,800
4位米国11,295
5位ブラジル9,800

世界の砂糖輸出ランキング(2022/23)

 国名輸出量(千ton)
1位ブラジル26,620
2位タイ11,000
3位インド5,205
4位オーストラリア3,550
5位グアテマラ1,750

世界の砂糖輸入ランキング(2022/23)

 国名輸入量(千ton)
1位インドネシア5,700
2位中国4,400
3位米国2,725
4位バングラデシュ2,650
5位アルジェリア2,452

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砂糖の作況・市場見通しなどの情報源

各ニュース情報、各商品先物業者のWebサイトや、International Sugar Organization(ISO)、CFTCの建玉(※)などの他、以下のサイトは海外の統計や作況情報もタイムリーに日本語でアップデートされており、おすすめです。

独立行政法人農畜産業振興機構(Alic):砂糖関連情報


なおCFTCの建玉は、直接CFTCにアクセスしても良いですが、日本の各商品先物業者がまとめているサイトの方がみやすいです。たとえばこちらのサイトです。(CFTCの情報自体が数日のタイムラグがあるので、それをさらに日本語にしたタイムラグもあまり問題ではないと思います。)

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砂糖の価格変動要因

砂糖の価格の変動要因としては、以下のようなものが挙げられます。

【供給面】

  •  生産
    • 収穫量
    • 天候
    • 生産コスト
    • 他の作物の作付面積の収益性
    • エタノール燃料の需要
  • 在庫
  • 輸出
    • 為替レート
    • 輸出国の貿易方針

 【需要面】

  • 人口成長
  • 生活の豊かさの増大、健康志向
  • 砂糖代替品・合成甘味料の市場動向・価格

【市場面】

  • マーケットセンチメント(リスクオン・リスクオフ)

世界の総人口は増えており、生活水準が豊かになれば砂糖の消費は上がる一方で、先進国における肥満などに対する健康志向の高まりは砂糖の消費にマイナスの影響があります。ただしこれらは長期的な価格変動要因なので、短期トレードではあまり影響がありません。

短期的な価格変動要因としては何と言っても、ブラジルの天候・作況、貿易方針、燃料政策が大きく影響を及ぼします。

たとえば、以下の2022年6月のニュースは、砂糖価格の下落要因になっています。
「ブラジルでは、ガソリン税を削減する法案が進展しており、工場がエタノールから砂糖生産に切り替え、(砂糖の供給量が増えることで)世界の砂糖価格を押し下げる可能性がある。」
Sugar market eyes Brazil draft fuel tax that may weaken sugar prices

また砂糖は小麦やコーンのような投機的な荒い動きが少なく、この点でトレードがしやすいと言えると思います。

以上、ご参考になれば幸いです。


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