ディーアの足元のパフォーマンス
まずは、農機世界首位のディーア(DE:通称「ジョン・ディア」)の足元のパフォーマンスをご覧ください。
2020年年初からの相対比較として、青がディーア、緑がキャタピラー、オレンジがS&P500、赤がダウ平均です。
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上のように、ディーアの足元の株価は好調ですが、何が背景にあるのでしょうか?今回はディーアの特徴を見ていきたいと思います。

なおディーアの年度末は10月で、1Q決算(11月~1月)が今週の金曜日に発表されます。
ディーアは、インフレに強い銘柄の典型例
米国のインフレが長期化する懸念が大きくなっています。また短期的に鎮静化したとしても、長期的なインフレの時代に入った、と見る向きがあります。どのような銘柄がインフレに強いか?という見方は、今後とても重要になってきそうですね。
まず、インフレに強いセクターとして、金融セクターとかエネルギーセクターがよく挙げられますが、これはなぜかというと、これらのセクターはインフレになると価格を上げることが容易であるためですね。
つまり、インフレ環境では価格を消費者に転嫁できる「価格決定力」が重要になるので、業界の中でトップシェアを誇る企業が有利になります。
この意味で、農機世界首位として価格決定力が高いディーアは、インフレに強い銘柄の典型例の一つとみられています。加えて、コーンや小麦、大豆などのコモディティ価格の上昇は、農家をはじめ農業セクターにとって長期的な追い風となりそうです。
ディーアは、「農機のテスラ」になる?
従来、どちらかというと地味な農業セクターの代表銘柄であるディーアが市場で注目される理由として、「農業セクターは、自動運転技術や宇宙技術によってイノベーションが起きる可能性がある」とみられているためです。
ディーアは今年1月に、ラスベガスで開催された「Consumer Electronics Show:通称CES」で、自動運転トラクターを発表しました。
自動運転のトラクターは、時間と労力の両方を節約し、常時稼働することもできます。 自動運転トラクターが市場に出回ったときには、多くの消費者の関心を集めることが期待されています。

加えて、ディーアは、破壊的イノベーションで有名なファンドマネージャー・キャシーウッド氏率いる、ARKのETFに含まれています。

ディーアは、GPSを使用した上記の自動運転トラクターを計画中であるほか、農業用ドローンアプリケーションのリーダーであり、また2017年には、機械学習を農業に適用するテック企業を買収しており、宇宙から得られる情報を基に農薬や除草剤などの使用を最適化したりするイノベーションなどが期待されています。
ご参考になれば幸いです。