はじめに
トヨタが、サンクトペテルブルク工場の稼働を3月4日から停止すると発表しましたね(同社Webサイト)。経済制裁によって部品調達などに支障が生じているためで、再開時期は未定。日本からの完成車輸出も停止、制裁対象となる部品が含まれているかどうかの判断が困難で、金融・決済が混乱する恐れも勘案、とされています。
なおトヨタは、2月24日以降、ウクライナでのすべての活動も停止しています。
さて、ロシアからの撤退または操業停止を決めた米欧の主要企業を、投資雑誌バロンズが掲載していますので、紹介します(元記事はこちら)。
貴方の持株が含まれているか、チェックしてみてください。
欧州と異なり、米国の場合はロシアとの貿易が少なく、米国の多くの企業にとってロシアはそれほど重要ではない可能性がありますが、一方でエネルギーセクターや、欧州企業には大きな影響がある可能性がある、と見られています。
なおサハリン1プロジェクトは、日本のエネルギー安全保障政策の上で重要とされており、日本政府の対応が注目されています。
ロシアからの撤退または操業停止を決めた主要企業 (サハリン1プロジェクトは、日本政府の対応にも注目)
- フォード(F)、ゼネラルモーターズ(GM)、BMW(XE:BMW)は、ロシアでの操業を停止
- フォルクスワーゲン(VOW3.DE)は、カルーガとニジニノヴゴロドの生産拠点を含め、ロシアでの自動車の生産を追って通知があるまで停止。また、ロシアへの自動車輸出を直ちに停止
- トヨタ(7203)については、冒頭の記載の通り
- エクソン・モービル(XOM)は、「サハリン1プロジェクト」の操業を中止するプロセスを開始。また、ロシアでの新規開発への新規投資を停止(ExxonMobil to discontinue operations at Sakhalin-1, make no new investments in Russia)
サハリン1は、エクソンが30%、ロシアの政府系エネルギー企業ロスネフチが20%、インドの国営企業が20%、日本勢が30%を保有(この30%を保有しているのは、日本の官民で作った「サハリン石油ガス開発:SODECO」で、同社には経産相が50%、伊藤忠商事が約16%、石油資源開発が約15%、丸紅が約12%、INPEXが約6%出資しています。)サハリン1は、サハリン2(後述)に比べて日本政府の関与が強く、官民をあげて開発を進めてきたもので、日本政府の対応が注目されています(参考記事)。なお日本の原油輸入量全体のうちサハリン1からの輸入量は、約1%です。
- シェル(SHEL)は、「サハリン2プロジェクト」から撤退する方針を発表。ロシアの国営ガス大手ガスプロムとの合弁を解消、共同展開してきたシベリアの油田権益からも引き揚げ(サハリン2の合弁の割合は、ガスプロムが約50%、シェルが約27.5%、三井物産が12.5%、三菱商事が10%)
- BP(BP)は、ロスネフチ(前述のサハリン1をご参照)の株式を売却
- ノルウェーのEquinor(EQNR)は、ロシアの合弁事業からの撤退を開始
- アクセンチュア(ACN)は、ロシアでの事業を中止、同社は2,300人のロシア人従業員を支援
- アップル(AAPL)は、ロシアでの製品の販売を一時停止、アプリのダウンロードを制限
- スポティファイ(SPOT)はロシアのオフィスを無期限に閉鎖、ロシアの国営メディアによって作成されたコンテンツを制限
- メタ(FB)は、ロシアの国営メディアアカウントRTとSputnikへのアクセスを制限
- Twitter(TWTR)は、ロシアの国営メディアに関連するソースにリンクしているツイートにラベルを付けて、アクセスを制限
- TikTok(バイトダンス)もメタ同様のアプローチ
- スナップ(SNAP)は、ロシア、ベラルーシ、ウクライナでのすべての広告を停止
- ディズニー(DIS)は、ロシアでの劇場映画の公開を一時停止。
- AT&T(T)傘下のワーナーメディアは、リリースが予定されていた「TheBatman」のリリースを延期
- ソニー・ピクチャーズは、最新作「モービウス」を含む劇場公開を一時停止
- スウェーデンのIKEAは、ロシアでの生産活動と輸出入を一時停止
以上、ご参考になれば幸いです。