昨晩の米国株反発のポイントは、対ロシア制裁のなかで「SWIFT排除」に踏み込まなかったこと
北京オリンピックが閉幕したのは20日でした。そこからまだ5日しか経っていないですが、めまぐるしく最悪のシナリオがすすんでいますね。
本日25日中に、侵攻中のロシア軍が首都キエフ周辺に入る可能性があると報道されています。
昨日24日の米国株は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて急落して始まりましたが、終盤に買い戻されて、6日ぶりに反発しましたね。
実際に侵攻が始まったことで「材料出尽くし」との見方がありますが、昨日の反発のポイントは、バイデン大統領が午後の演説で表明したロシア向けの追加制裁に、ハイテク製品などの輸出規制が含まれる一方で、SWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの銀行を排除する措置までは踏み込まなかったことが大きいとみられています。
以下は、S&P500と、目先注目されているコモディティについて、2022年年初来で相対比較した1時間足チャートです。
直近はリスクオフからの逆転で、特に原油や小麦や金は、昨日の急騰から「往って来い」でトップアウトの可能性がでてきていますね。
(クリックで拡大できます。)
WTI原油は一時100ドルを超えましたが、昨日・本日と「SWIFT排除」の制裁に踏み込んでいないことで、93ドル台まで下がっていますね。
今後の対ロシア制裁の中で「SWIFT排除」に踏み込まない限り、今後の原油価格は軟化していく可能性がある、という見方があります。
「SWIFT排除」の制裁は影響が甚大で、欧州の足並みがそろわない
俄然注目されているSWIFTですが、海外送金の際に記入する「SWIFTコード」くらいしか馴染みがないので、ピンとこないですね。以下に、Wall Street Journalの記事を引用します。
SWIFTはテレックス・システムに代わるものとして1970年代に設立された。加盟金融機関が所有しており、中央銀行の監督下にある。現在、SWIFTは世界200カ国以上の1万1000を超える銀行、金融機関、企業をつないでいる。SWIFTは資金そのものを動かすのではなく、銀行が国境を越えた決済やその他の取引を日々何千万件も相互に指示するために用いる不可欠なメッセージング・プラットフォームだ。
SWIFT自身が特定の金融機関や国をネットワークから遮断することを決めるわけではない。「SWIFTは中立だ」と同協会のウェブサイトに書かれている。「SWIFTには制裁を決定する権限はない」。制裁に関する法律は国によって対立する場合がある。SWIFTは、ウェブサイトによると、本部がベルギーにあるため、欧州連合(EU)の規則に従っている。
国際規制機関である金融安定理事会(FSB)の議長は、英紙フィナンシャル・タイムズに対し、ロシア銀のSWIFTへのアクセスを遮断すれば、「決済フローに深刻な混乱」を引き起こす可能性があると語った。
格付け会社フィッチ・レーティングスは、ロシアの銀行をSWIFTから排除した場合、「外国債権者の返済に支障をきたす」可能性があると指摘した。欧州の一部の銀行は、ロシアでの融資残高が相当な額に上っている。
引用元:Wall Street Journal
以上、ご参考になれば幸いです。