TradingViewは万能チャートツール
前回から数回の記事に分けて、チャートツール「TradingView」(Webサイトおよびスマホアプリ)の機能を紹介しています。
今回は、投資で重要になることが多い「相関関係の分析」に、TradingViewを使う例を紹介したいと思います。
相関関係の程度を示す指標として、「相関係数(correlation coefficient)」というものがあります。相関係数とは、2つの値の間の相関の度合い(類似性の度合い)を示す統計学的指標で、−1から1の間の値をとり、1に近ければ近いほど2つの値には正の相関が強く、−1に近ければ近いほど負の相関が強いことを意味します。
TradingViewを使った相関関係の分析例
以下のチャートをご覧ください。
上半分は、米国債10年物の利回りについて、2019年年年初からの約2年の値を描画しています。米国債10年物の利回りは、昨年の10月頃からじわり上昇が始まって、さらに2021年の年が明けてさらに上昇してきていますが、コロナ前の水準よりはまだかなり低いことがわかります。
一方、チャートの下半分は;
- 青いラインは、「BKX(フィラデルフィアKBW銀行株指数)」(銀行セクターの株の動きを表す指数)と、米国債10年物の利回りの間の相関係数
- 赤いラインは、金(ゴールド)と米国債10年物の利回りの間の相関係数
を、TradingViewを使って描画しています。
BKX指数は米国債10年物の利回りと正の強い相関関係があります。一方、金(ゴールド)は米国債10年物の利回りと負の強い相関関係があります。ただし昨年後半から、金と同利回りとの相関関係は薄れてきているように見えます。
長期国債利回りも、金も、BKX指数も、米国株投資にとってとても重要な指標なので、注目しておくと良いと思います。なおBKX指数は、米国株相場の重要な先行指数になることがあります。
TradingViewの最強機能は「Pineスクリプト」
TradingViewでは、「インジケータ」といういろいろな分析ツールを描画できます。上記の相関係数のインジケータも、初期設定(ビルトイン)で含まれています。ただしビルトインの相関関係インジケータ一は、1:1の相関関係しか描画できません。
そこで今回のように(BKXと金の2つについて、長期国債利回りとの相関を同時に表示したい)といった場合は、「Pineスクリプト」で簡単なコーディングをすることで描画できます。
TradigViewの最も強力な機能は、「Pineスクリプト」という簡易言語を使って、自在にカスタムインジケータを開発できることです。
ちなみに、今回の相関係数のカスタムインジケータのスクリプトは、以下の通り数行だけです。
//@version=4 study( "Beikokukabu.com Correlation Analysis",overlay=false) plot( correlation(security("XAUUSD" ,"D" ,close),close ,20 ),linewidth = 2, color=color.red,style=plot.style_area,transp=70, title='XAUUSD') plot( correlation(security("BKX" ,"D" ,close),close, 20 ),linewidth = 2, color=color.blue,style=plot.style_area,transp=70,title='BKX') hline(0, linewidth = 1, linestyle=hline.style_solid)
Pineスクリプトの内容については、別途、入門記事を書きたいと思います。
TradingViewをぜひ試してみてください。以下のバナーからすすめます。↓