アマゾン、MGMの買収完了を発表
FOMCを通過して、昨日の米国株市場は堅調でしたね。
さて本日は、先日の株式分割・自社株買いの記事に続いて、アマゾンの記事にしたいと思います。
「アマゾンは、2022年3月17日、映画製作会社MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)の85億ドルの買収を完了したと発表。」と一斉に報道されていますね。
ロイター、2022-03-18
アマゾンは、2021年5月にこの買収計画を発表しました。その後、この取引について欧州委員会(EC)と米FTC(米国連邦取引委員会)が調査していました。欧州委員会は15日、アマゾンとMGMのビジネスの重複は「限定的」として、無条件に承認しました。一方FTCからは公式発表はまだありませんが、アマゾンは、FTCによる通常レビューの後に異議を申し立てる30日間の期限が過ぎたことで、このディールの完了を発表しました。
そもそも、市場においてこの買収が完了するかどうか不透明だったのは、アマゾンがこの買収計画を発表した直後の2021年6月に、反トラスト法(独占禁止法)専門の法学者リナ・カーン氏が、FTCの議長に就任したためです。
FTC議長に史上最年少の32歳で就任したカーン氏は、反トラスト法分野の常識を覆す論陣で巨大IT企業の規制強化を訴える新進気鋭の法学者で、エール大法科大学院の学生だった2017年に27歳で発表した論文「アマゾンの反トラスト・パラドックス」で注目を浴びました。
FTCは、法律に違反していると判断した場合は、買収完了後も異議を申し立てることができます。
【GAFAMのM&Aの歴史をおさえておこう】
ところでアマゾンは、GAFAMの中では、M&Aの数が少ない方です。最もM&Aが多いのはマイクロソフトです。なおGAFAMのM&Aの中で、最も歴史的なディールは、グーグル(アルファベット)のYouTube買収であると思います。
MGMとは?
MGMは1924年創業の映画製作会社で、約4,000本の映画タイトルと約17,000本のテレビエピソードを保有しています。主な作品には、「12人の怒れる男」「氷の微笑」「007」シリーズ、「ポルターガイスト」「レイジングブル」「ロボコップ」「ロッキー」「羊たちの沈黙」「スターゲイト」「テルマ&ルイーズ」「トゥームレイダー」、テレビ画組の「ファーゴ」「シャーク・タンク」などがあります。なお同社は、2010年に破産法11条(Chapter11、日本の民事再生法に相当)の適用を申請しています。
映画・TVのストリーミング競争はさらに激化
アマゾンは、この買収によって、MGMの大量のコンテンツをアマゾンプライムのストリーミング・メニューに加えることができます。アマゾンは、映画・TVのストリーミングサービスにおいて、
- AT&Tの「HBOMax」(ワーナーブラザースエンターテインメントが提供する数十年分の映画コンテンツ。なおAT&Tは、ワーナーメディアを分離してディスカバリーと統合する計画を進行中です。)
- ウォルト・ディズニーの「Disney+」(ウォルトディズニースタジオの作品群)
と競争する上で、強力な手段を得たことになります。