(1)2021年は「グローバル投資戦略」で世界の様々な投資対象に目をむけよう
(2)グローバル投資戦略は、各国の「経常収支・貿易収支」の理解からはじめよう
(3)グローバル投資戦略として目先は「オーストラリア」に注目してみよう
(4)グローバル投資戦略として、各国の通貨を「グルーピング」してみよう
(5)穀物系のETN「JJG」(とうもろこし・大豆・小麦)に注目してみよう
(6)テーパリング・原油高で、「カナダドル(CAD)」に注目してみよう
グローバル投資戦略で考える「オーストラリア」の投資妙味
このシリーズでは、世界の様々な投資対象に目をむける「グローバル投資戦略」について、書いています。
今回は、具体的に「最近の相場環境からどこの国のどの金融商品が利益を狙えるか」について、主にマクロ経済のファンダメンタルの点で、目先はオーストラリア(特に通貨の豪ドル)の投資妙味が大きいと考える点についてまとめたいと思います。
オーストラリア(特に通貨の豪ドル)の投資妙味について考慮する要素として、以下のものがあげられると考えます。
- 新型コロナ感染者数の封じ込みに成功
- 上昇中の資源価格
- 経常収支・貿易収支からみたファンダメンタルズの強さ
- RBA(オーストラリア準備銀行)の金融政策
- 長期金利の推移
- 豪ドルの他通貨との相対比較
以下、順に説明していきます。
新型コロナ感染者数の封じ込みに成功

先日、大坂なおみ選手が優勝した全豪オープンで、観客を入れていたことに気付かれたと思います。オーストラリアは、新型コロナ感染者数の封じ込みにいちはやく成功した国の一つです。
なお、同国では2月21日から、同ウイルスのワクチン接種が始まっています。
上昇中の資源価格
資源国オーストラリアの経済は、資源価格の影響を強く受けます。下のチャートは、オーストラリアの主要な輸出品である鉄鉱石の長期チャートです。

コロナ禍からの世界経済の回復に先立って、資源価格が上昇していることがわかります。
なお主要輸出先の中国とは、昨年に関係悪化などが報道されていますが、鉄鉱石は輸入規制の対象ではありません。
経常収支・貿易収支からみたファンダメンタルズの強さ
前回の記事でご紹介した通り、オーストラリアの経常収支・貿易収支の構造は、他の先進国とはかなり異質です。資源国であるオーストラリアは、一次産品を輸出して工業製品を輸入するという、新興国に似た貿易構造を持っています。さらに、下のチャートでわかる通り、直近の2018年~2020年は貿易収支黒字の拡大傾向を示しています。
(※昨日3月2日に2021年4Qの経常収支が発表されています。のちほどアップデートします。)
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RBA(オーストラリア準備銀行)の金融政策
2021年3月2日、RBA(オーストラリア準備銀行)は市場の予想通り、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを0.10%で据え置くと発表しました。また、早くても2024年までは雇用とインフレ率の中銀目標は達成されない見込みだとして、超緩和的な政策を維持する方針を改めて示しました。

ここでのポイントは、RBAは、他国の中央銀行と足並みを揃えた姿勢を見せているものの、実体経済の回復状況からみて、主要先進国の中で出口戦略に最もはやく着手する可能性があるという点です。少なくとも目先は、米国、欧州、日本のレベルを超える規模の追加緩和の必要性はまず無い、と考えられます。
長期金利の推移
世界的に長期金利が上昇しており、オーストラリアの長期金利は、ニュージーランドとともに主要先進国の中で最も高い水準にあります。
豪ドルと他通貨の相対比較(2020年年初~)
豪ドルは、米国株との正の相関が高いリスク通貨です。

ここでのポイントは、豪ドルは「昨年3月からずっと上昇しており高値にある」ことと、上記のファンダメンタルズ面からみて「まだこのトレンドは続く可能性が高い」こと、米国株との相関が高いため先週の動きのように、「米国株が調整すると、押し目をつくる可能性がある」ということです。
また豪ドルは、最大の貿易相手国である中国との関係悪化などのニュースで下落するリスクがあります。
豪ドル/米ドルのチャート分析
先週の米国株の調整で下落後に反発、20日移動平均(太い赤いライン)を回復してきました。
豪ドル/円のチャート分析

豪ドル/米ドルよりも、豪ドル/円の方が投資妙味が大きいように見えます。
私も押し目買いしました。
(参考)オーストラリアの株価指数「ASX200」
以上、マクロ経済のファンダメンタルズの点で、通貨豪ドルに妙味があることを書きました。では、オーストラリアの株価指数はどうでしょうか?
参考として以下は、オーストラリアの主要な株価指数である「ASX200」の推移を、他国の主要な株価指数と相対比較したものです。米国株などと比べてコロナ後のASXのパフォーマンスは特に良いとはいえない状況です。

ASXの構成銘柄は、資源関連株や景気循環株が多い一方で成長株が比較的少ないので、昨年のパフォーマンスが今一つなのは当然かなと思います。ただし今後の推移には要注目だと思います。
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。