IG証券

【米国株.comへようこそ!】
ランキングと個別銘柄チャートの最終更新日は、2022年12月25日です。
コラム

TSMCが半導体製造の「後工程」のR&D拠点を日本に作るのはなぜか?(TV報道に要注意)


当記事は、半導体関連銘柄特集の9回目の記事です。

何で日本? しかも後工程?

今月の2月9日に日本経済新聞が、「台湾のTSMC(半導体ファウンドリー最大手)が、茨城県つくば市に、約200億円を投じて、半導体の後工程の開発拠点をつくる方向で調整に入った」と報じました。

当サイト(米国株.com)では「半導体関連銘柄特集」などでTSMCを頻繁に取り上げているのですが、上のニュースを見て、

ん? 何で日本? しかも後工程? しかもTSMCからすると200億円の投資はすごく小さい。

という印象を持ちました。当サイトに来て頂いたあなたは、どのような感想でしょうか・・?
現状、TSMCは、グローバルに見て下記のような状況だと思います。

半導体製造工程は、「前工程」と「後工程」に大きく分かれていて、微細化の世界最先端の競争をしているのは「前工程」。一方「後工程」とは、パッケージング工程の総称。
前工程で最も重要な「露光工程」の最先端装置で独占するオランダのASMLとともに、その露光装置を使いこなすファウンドリとしてTSMCも(アップルやクアルコムなど)米国企業顧客を相手に絶好調。
TSMCは中国にも以前から2つの工場があってファーウェイも従来からの顧客であったが、米中の半導体覇権争い・貿易戦争を背景に、米国アリゾナに最先端チップの工場建設予定。
参考記事:半導体の製造工程で分類してみよう
参考記事:TSMCの米国アリゾナ新工場関連の記事まとめ

したがって、今なぜ日本に、しかも後工程のR&D拠点、なんでしょうか?

目次に戻る

テレ朝「報ステ」の歪曲報道

このニュースに関連して、テレ朝のインタビューに応じた湯之上隆氏(微細加工研究所)が、

「『報ステ』がインタビューを歪曲報道…修正依頼を無視、TSMCの日本進出報道でミスリード」

という記事をビジネスジャーナルに書いておられます。以下に一部抜粋します。

電話で、TSMCとはどのような半導体メーカーで、今回の後工程の開発拠点を日本につくることの意味などを説明したが、「後工程」ということが理解できないようだった。それどころか、「半導体」というものが、まったくわかっていない様子だった。

加えて、「TSMCが日本に拠点をつくったら、今問題になっているクルマ用の半導体不足が一気に解消されることになるんですよね?」などと言うので、それは次元が異なる別の話であることを説明した上で、今回の報道はやめたほうが良いということを伝えた。

『報ステ』のスタッフは、「半導体」のことも「後工程」のことも何も理解していないにもかかわらず、筆者への15分ほどのインタビューの一部を、前後の文脈など関係なく数秒ほど切り出して、TSMCが日本に開発拠点をつくることについて勝手にストーリーをつくり、視聴者をミスリードするようなニュースを報じてしまった。筆者は放送直前まで、担当者が送ってくるセリフの台本や図について、「これは間違っているからこうしてくれ、こう言ってくれ」と何度も修正を依頼したが、それはオンエア中のキャスターには届かず、とんでもないニュースになってしまった。

投資家のみなさんは、テレビの報道は信用せず、できるだけ信用できる情報にアクセスしたほうが良いですね。

目次に戻る

で結局、なぜ日本で、なぜ後工程のR&Dなのか

TSMCは、微細化の最先端競争である「前工程」では、露光装置のASMLと共に絶対優位の状況ですが、一方で「後工程」ではまだ他企業との競争の状態にあります。
半導体の「前工程」の微細化は止まってはいませんが、技術開発はますます困難になってきており、今後は「後工程」での斬新な技術開発も重要になってきています。

上記の湯之上氏は、上記の記事の中で、「TSMCがなぜ日本で、なぜ後工程のR&D拠点をつくる方向なのか」について、以下のように解説されています。

実は、筆者はまだこれが現実になるとは思っていない。TSMCにとってのメリットがあまりないからだ。
もし、あるとすれば、前工程用に日本から非常に多くの製造装置を輸入していることが挙げられるかもしれない。また、シリコンウエハ、レジスト、フッ化水素をはじめとする薬液など、半導体材料も日本依存度が高い。
TSMCの狙いとは、米国の同盟国でもある日本の経済産業省が熱心に誘致に口説いてくるから、「ちょっと恩を売っておこうか」という程度のものではないだろうか。日本は2019年7月1日に突然、韓国に対して半導体3材料の輸出規制を強化したが、そのようなことを平気でする国の政府を怒らせないためではないか。
したがって、筆者の結論は、TSMCの狙いは「お付き合い」程度のものであると考える。そして、200億円程度の後工程の開発拠点で、優れた製造装置や材料が開発できたら、台湾に大規模な後工程工場をつくり、そこに日本製の装置や材料を並べればいいわけだ。『報ステ』では、将来は日本にTSMCの生産工場の建設も期待できるというような発言があったが、常識的に考えてあり得ない。

半導体銘柄の中核であるTSMCとASMLの動向には引き続き要注意ですが、今回の日本進出計画のニュースは、足元での株価への影響はなさそうですね。

目次に戻る


【(オススメ)グローバル投資戦略で最適な金融商品を選べる「IG証券」】IG証券
IG証券のメリット
日系証券の中で唯一、株価指数CFD・商品CFDの最小ロット「0.1」(これから株価指数CFD・商品CFD取引を始める場合、最小ロット「1」ではなく、最小ロット「0.1」をおすすめします。)
・日系証券の中で最も多い株価指数CFD・商品CFDの品揃え。グローバル分散投資に最適
・米国株価指数は、ダウ30、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000、VIX指数、FANG指数(ラッセル2000を取引できるのは、日系証券ではIG証券とOANDAのみ)
・日系証券の中で唯一、24時間取引可能(いつでも決済取引が可能)
・世界の株価指数CFD:約40銘柄、株式CFD(米国株、米国ETF、欧州株、中国株、日本株等):約12,000銘柄、FX通貨ペア:101銘柄、金、原油、銅、コーンなど商品CFD:約70銘柄
・レバレッジあり、売りからも可能(信用取引と同様のトレード可能)
・リーズナブルな手数料・1株数百円~数千円から
・バイナリーオプション、ノックアウト・オプション
・ロンドン取引所上場、世界23万人以上が利用、CFD世界No1
・学習コンテンツ充実、新規口座開設キャンペーン(5万円キャッシュバック)
参考記事はこちら「株価指数CFD・商品CFDの取引は、どの証券会社を選ぶべきか?【徹底比較・2022年版】」
【(オススメ)最強のチャート分析ツールTradingView。活用方法は無限大!】

【(オススメ)グローバル分散投資に最適な江守氏のメルマガ。ヘッジファンドのノウハウを学んで投資スキルを高めよう!】

スポンサーリンク
米国株投資ガイド『米国株.com』
タイトルとURLをコピーしました